横断歩道を渡っていた小3児童が亡くなる悲劇…「いつも通る道」に潜んでいた“意外な死角”とは

「被害者の男の子は学校に行く途中だったみたいです。学校か警察から連絡があったのでしょう。現場にいた、お母さんらしい女性の叫ぶような泣き声が、今でも頭から離れません」(近所の住人) 7月15日の朝9時過ぎ、西東京市内の交差点で横断歩道を渡っていた近くに住む小学3年生の高嶋利久土(りくと)くん(8)が貨物用のワゴン車にはねられ、死亡した。 「警視庁は16日に運転していた運送会社社員・田吹武俊容疑者(59)を過失運転致死の疑いで逮捕しました。図書館へ本を配送していた田吹容疑者が現場の交差点を右折したところ、ちょうど交差点を渡っていた利久土くんをはねたのです。現場の道路には、事故後に引きずったような跡が3.5mほど残っていたそうです。 田吹容疑者は『未来ある子供の命を奪ってしまい申し訳ない』と、容疑を認めているようです」(全国紙社会部記者) 現場は片側1車線の都道の交差点。かつては歩道が狭く、事故も多かったそうだが、歩道が整備されてからは減ったという。田吹容疑者の車が走ってきた方向からだと、交差点の見通しは良く、右側の横断歩道を渡ろうとする人が何かにさえぎられて見えにくいということはない。 田吹容疑者は「何度も通る道路で状況は知っている。対向車もなく空いていたし、横断歩道を渡る人もいないと勝手に思っていた」「安全確認がまったくできていなかった」などと話しているという。警察は対向車の確認に気を取られ、横断歩道に注意を払っていなかったとみて調べをすすめている。また、17日には田吹容疑者が勤務する運送会社など2ヵ所を家宅捜索し、運行管理体制に問題がなかったかなどを調べている。 見通しの良い交差点で悲劇はなぜ起こったのだろうか。交通事故調査解析事務所代表で元交通捜査官の熊谷宗徳氏は次のように分析する。 「この容疑者はいつもこの時間帯ぐらいにこの場所を通っていたのではないかと思っています。事故の起きた9時30分ごろは、通常であれば登校する児童はいない時間帯。普段は歩行者があまりいないため、よく確認せずに曲がってしまったのではないでしょうか。公道はいろんな人や車が通る場所ですから『いつも通りだから大丈夫』というのは通用しないのです。 また、左折時に死角にいる人を巻き込んでしまう事故がよくありますが、右折時にも死角は存在します。それは右側のフロントピラーです。ここに右側を横断している歩行者が隠れてしまうことがあるので、それで被害者が見えなかった可能性もあります」 しかし、子供が死角にいて見えなかったから、という言い訳は通用しないようだ。 「ゆっくりと曲がっていけば、歩行者は死角から外れるんですよ。死角があったら身体を前後に動かしてでもその向こうを見なさいというのが、運転の基本。見えなかったのは事故捜査の立場でいうと、安全確認が不十分だったということになります。 交差点での右折は対向車を妨害しないようにしなければならず、さらに横断歩道の歩行者にも注意しなければならない確認ポイントの多い場所。安全確認をする範囲が広いため注意が必要なのです」 「いつもの道だから」そんなささいな心の隙が、取り返しのつかない悲劇を生んでしまった──。

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