フランスとスペインで山火事広がる、22万人以上が避難 スペインは緊急事態宣言

スペイン当局は24日、首都マドリード近郊で発生した山火事が拡大し、消防隊が「対応しきれない」ほどの規模になっていると警告した。首都マドリード近郊の複数の地域で火災が制御不能となり、約2万5000人が避難を余儀なくされたことを受け、スペイン政府は、緊急事態を宣言した。フランス南西部では、ジロンド県とランド県を襲った山火事により、約20万人が避難を余儀なくされた。 スペイン首都マドリードの西側で発生した3つの火災が合流し、1つの火災となっている。マドリード州のイサベル・ディアス・アユソ州知事は、今回の火災を「地域史上最悪の火災」と表現し、高温、容赦ない強風、そして複数の火災前線が合流するという「最悪の事態」だと述べた。 フランス南西部の火事は24日午後に方向を変え、ボルドー方面に向かっている。今後も大勢の避難が予想され、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、対応を支援するため軍を動員した。 スペインでは、地元の緊急サービス当局によると、山火事が首都から約50キロ離れたロブレド・デ・チャベラとフレスネディジャス・デ・ラ・オリバの両自治体に向かっているという。 「山火事はピークに達しており、現時点では消防隊員の力で鎮圧できる範囲を超えている」と、マドリード州政府の緊急事態管理責任者、カルロス・ノビージョ氏は記者団に話した。 「あの地域では消火活動ができないため、防御的な措置を講じている」とも、同氏は述べた。 マドリード北西にあるエル・エスコリアル近郊の地域を守るため、軍緊急対応部隊(UME)が派遣され、延焼を食い止めようとしている。 近隣のアビラ県でも山火事が発生している。当局はブルゴオンドの大規模火災がマドリードの火災と合流する恐れがあると懸念している。 スペインのフェルナンド・グランデ=マルラスカ内相は、火災の合流を阻止するために当局は「できる限りのこと」をしていると述べた。 当局によると、マドリード地域では6万人以上が影響を受け、うち3万人が避難を余儀なくされた。2万人がロックダウン状態に置かれているという。 マドリード州におけるスペイン中央政府の全権代表、フランシスコ・マルティン氏は、「火の粉が数キロも飛び、火が大きく燃え広がっている」ため、避難する人数は今後も増える恐れがあると話した。 アビラ県で被害を受けた地域の一つ、エル・ティエンブロのアルトゥーロ・バラス・ゴンサレス市長は、ナバルエンガからイルエラス渓谷まで約20キロの距離を、炎が30分足らずで燃え広がったと話した。 「恐ろしい光景だった」と市長は地元テレビ局のラ・セクスタに話した。 当局によると、マドリード地方では少なくとも6000ヘクタールの土地が焼失し、アビラの火災では約9000ヘクタールが焼失した。 チャピネリア、ナバス・デル・レイ、コルメナール・デル・アロヨ、フレズネディージャス・デ・ラ・オリバ、ロブレド・デ・チャベラ、アルデア・デル・フレズノ、ナバラガメラ、サルサレホの8つの自治体で、住民が避難している。 サン・マルティン・デ・バルデイグレシアス、ペラヨス・デ・ラ・プレサ、ビージャ・デル・プラドなど、他のいくつかの町は、ロックダウン状態にある。 ■「向き合おうとすると飲み込まれてしまう」 「逃げずに立ち向かおうとすれば、飲み込まれてしまう」と、エコロヒオ・カブレラ氏(86)はAFP通信に話した。カブレラ氏はマドリード西部の村から避難を余儀なくされ、他の住民数百人と共にビラマンタ村の体育館に逃れている。 カブレラ氏の家族は消防隊が到着するまで、庭のホースで水をかけて家を守ろうとした。「やってきた消防隊に全員避難するよう言われた(中略)こんな経験は初めてだ」と、同氏は話した。 マドリード州のアユソ知事は、今回の状況は「全く異例で壊滅的」だと言い、人命救助が最優先事項だと述べた。 スペイン首相によると、ペドロ・サンチェス首相は25日早朝、マドリード州の緊急対策調整センターを訪問する予定だという。 サンチェス首相は24日、国民が「劇的な事態の渦中にいる」と述べ、十分に注意するよう国民に促した。 地元メディアの報道によると、治安警備隊はブルゴオンドの火災に関して1人を逮捕し、もう1人を捜査している。当局は、火災は規制期間中に重機を使用した際の過失が、出火原因となった可能性があると見て調べている。 ■フランスで約20万人が避難 フランス南西部では、ジロンド県とランド県を襲った山火事を受け、当局は約20万人を避難させた。 ジロンド県の山火事について、ソフィー・ブロカス知事は「XXL(特大)」サイズの火災だと表現。1万9000ヘクタール以上の森林が焼かれ、家屋約80軒が破壊された。 当局は南西沿岸の人気観光地カップ・フェレ半島全域から、住民を避難させた。数百人がボートで脱出した。 この地域の年間人口は8000人弱だが、夏休み期間中は10倍に増えることもある。 ジロンド県の消防救助当局トップ、マーク・フェルミューレン氏は、干ばつによって火の手が夜通し広がり続けたと説明。状況は2022年にジロンド県を襲った壊滅的な火災の時よりも深刻だと述べた。 フランスのローラン・ヌニェス内相は、フランスのテレビ局TF1に対し、「これほど大規模な対流火災はこれまで見たことがない」と述べ、約50人の消防士が負傷したことを付け加えた。 内相は、炎が「自立燃焼」によって燃え広がり、方向を変えていると説明。24日夜には、ボルドー方面へ東に向かっていたと述べた。 「我々は対応体制を再編成し、地上から対応し、ボルドーへの拡大を阻止するつもりだ」と内相は述べた。 さらに南では、ランド県ビスカロス近郊で発生した別の山火事により、2万3000人以上が住宅、キャンプ場、老人ホーム、サマーキャンプからの避難を余儀なくされた。 ランド県のジル・クラヴルール知事は、風速が時速50キロに達し、気温が摂氏36〜37度に達すると指摘。このため、24日夜までに炎を鎮圧するのは難しいと話した。 特に被害の大きいレージュ・カップ・フェレのフィリップ・ド・ゴヌヴィル市長は「地域全体で過去1カ月半にわたり、雨が降らず気温が平年を上回るという異常気象に見舞われてきた」と述べた。 「前代未聞だ。我々も消防士たちも、こんな光景は見たことがない」とも、市長は話した。 マクロン大統領は、国内の山火事の状況、特にジロンド県の状況は「非常に緊迫している」と述べた。 大統領は、フランスが欧州連合の民間防衛メカニズムを発動し、チェコ共和国とスロヴァキアからブラックホーク・ヘリコプター2機を含む増援部隊を受け取る予定だと述べた。 ■南ヨーロッパ全域で極端な気象状況 欧州連合(EU)は、スペインとフランスでの消火活動を支援するため、航空機とヘリコプターを派遣した。南ヨーロッパでは多くの地域が、相次ぐ熱波と長期間の干ばつに見舞われている。 EUのコペルニクス気候変動サービスによると、ヨーロッパは最も急速に温暖化が進んでいる大陸。1980年代以降、世界の平均の2倍以上のペースで温暖化が進んでいる。 気温の上昇と乾燥化により、植生から水分が失われ、山火事の発生と延焼を促進する燃料となる素材が増えている。 それでも出火するには火花が必要で、多くの場合、これは偶発的または意図的な人間の活動、あるいは落雷によって発生する。そうやっていったん燃え始めると、極度の高温、乾燥した植生、強風が延焼速度を速め、消火を難しくすることが多い。 欧州森林火災情報システムによると、今年ヨーロッパで発生した山火事による焼失面積は、すでに過去20年間の年間平均を上回っている。 欧州環境庁は、「気候変動によりヨーロッパ全域で森林火災のリスクが高まっている」と述べ、特に南ヨーロッパで最大の危険が予想されると警告した。 (英語記事 More than 220,000 evacuated in France and Spain due to wildfires)

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