13日施行の国旗損壊処罰法は、処罰対象が不明確で、取り締まりは捜査側の裁量に左右されるとの懸念が強い。 警察庁は法案成立後、全国の警察本部に適切な法運用を求める通達を発出した。文言からは対応に苦慮する様子がうかがえ、「対応してもしなくても批判の対象になる」との声も聞かれる。 同法は「著しく不快または嫌悪の情を催させる方法」で、公然と国旗を損壊する行為を禁止。ただ、処罰の判断は、行為の様子や状況、客観的な事情を総合的に勘案するとされ、国会審議では有識者が「要件が曖昧で、恣意(しい)的な運用にならざるを得ない」と批判した。 警察庁は7月24日付で通達を出し、違法性の判断に関する留意点として「組織的に検討するとともに検察当局とも緊密に連携すること」と強調した。逮捕については「理由や必要性、証拠の証明力の組織的かつ緻密な検討が必要」と繰り返し、「犯罪性と犯人性が明確な場合に限る」と念を押した。110番に対しても、通報者や目撃者への事情聴取、防犯カメラの確認などの丁寧な対応を指示した。 警察幹部は「取り締まっても、しなくても批判が出る。対応の難しい法律だ」と話す。通達は取り扱う全職員への指導教養を求めたが、違法行為の参考例として、衆院内閣委員会での説明資料を添付せざるを得ない点にも苦しさがにじむ。 施行直後の「終戦の日」には反戦や反体制のデモが予定されており、取り締まり担当からは「挑発するようにわざと国旗を壊す人が出るのでは」と懸念も漏れる。捜査幹部は「憲法の保障する政治的思想や表現の自由との兼ね合いがある。現行犯逮捕のハードルは高い」と認めた上で、「『器物損壊罪』など既存の法律も駆使して対応していくしかない」と話した。