トランプ政権が数百人を強制送還、エルサルバドルの過酷な巨大「テロ対策センター」の実態

米トランプ政権は、主にベネズエラのギャングとされる人物数百人をエルサルバドルに強制送還し、裁判を経ずに巨大刑務所に収容している。この「テロ対策センター」(CECOT)はブケレ大統領の強硬な治安政策の一環として2023年2月に開設。収容人数は4万人で、敷地面積は約23ヘクタールだ。受刑者に与えられた空間は狭く、屋外のレクリエーション施設もなく、家族との面会も許されていない。殺人事件が激減したため、国内外の強硬派の法秩序派政治家からは称賛を浴びる一方、人権団体からは激しく非難されている。この施設の実態とは。 米国は、主にベネズエラの移民数百人を裁判もなく、エルサルバドルの巨大刑務所に送り込んだ。 この施設はテロ対策センター(CECOT)と呼ばれ、ブケレ大統領の強硬な治安政策の一環として2023年2月に開設。その結果、殺人事件が激減した。 収容人数は4万人で、同国によるとラテンアメリカ最大。首都サンサルバドルの東にある隔離された地域にあり、敷地面積は約23ヘクタールだ。 ブケレ氏によると、開発と設備に1億1500万ドルかかったという。 内部で撮影された動画には、髪を剃られた囚人らが密集している。 屋外のレクリエーションエリアはなく、家族の面会も許可されていない。 米州人権委員会は2024年9月の報告書で、過密状態に対する懸念を表明。受刑者に与えられた空間は平均0.6平方メートルで、国際基準を下回っているとする調査結果を示した。 なぜ物議を醸しているのか。 ブケレ大統領は2022年に非常事態を宣言。悪名高いギャングや犯罪と闘うためテロ対策センターが必要だと述べた。 非常事態は現在も続いており、約8万4000人が逮捕された。ギャング組織のマラ・サルバトルチャや、ライバル組織の構成員も含まれる。 人権団体は同国の刑務所、特にテロ対策センターを批判しており拷問、受刑者の死亡といった人権侵害を報告している。 なぜ移民がCECOTに収容されているのか。 2月にルビオ米国務長官が訪問した際、エルサルバドル側が、米国で退去処分となった犯罪者を出身国を問わず、国内刑務所に収容することを申し出た。 ルビオ米国務長官 「彼は国外追放者の受け入れに同意した」 トランプ政権は3月15日、まず261人をエルサルバドルへ強制送還。うちベネズエラ人137人については、戦時法である「敵性外国人法」に基づき正当化。ベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーだと主張したが、詳細は明らかにしなかった。 米政府は国外追放者を収監してもらう見返りとして、エルサルバドルに約8億5500万円を支払ったと発表した。

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