相関図でシーズン2配信前におさらい!「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」から『ローグ・ワン』に続く道のり

プライムタイム・エミー賞で3部門にノミネートされ、「スター・ウォーズ」のドラマシリーズのなかでも「マンダロリアン」に匹敵する高い評価を受けた2022年の「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」。そのシーズン2が、ディズニープラスにていよいよ4月23日(水)より配信開始される。ショーランナーを務めるのは、シーズン1同様、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で共同脚本家として仕上げをサポートしたトニー・ギルロイ。『ローグ・ワン』、シーズン1に続いてディエゴ・ルナが主人公キャシアン・アンドーを演じる。本稿では注目のシーズン2を前に、シリーズを人物相関図とあわせておさらいしていく。 ※本記事は、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン1、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください ■一人の男が反乱軍の戦士になるまでを描く「キャシアン・アンドー」 改めて、「キャシアン・アンドー」の基本設定を整理しておきたい。このドラマは『ローグ・ワン』の前の時代を描くもので、映画の正史シリーズでは『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)と『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)の間で起こった出来事を明らかにしている。すなわち、銀河帝国が恐怖による圧政を強め、星々の人々がそれに苦しめられた挙句、反乱軍の芽が育ちつつあった時期。その“芽”の一つがキャシアンであったことは、『ローグ・ワン』を観れば一目瞭然だ。 『ローグ・ワン』は、「スター・ウォーズ」ファンの間で極めて人気の高い作品。「スター・ウォーズ」の原点である『エピソード4』で、反乱軍を率いるレイア姫(キャリー・フィッシャー)は帝国軍の最終兵器デス・スターの設計図を手に入れていた。それがどのようにして彼女の手に渡ったのか――そこにはデス・スターの設計図を奪い、反乱軍に届けるという不可能に近いミッションに命懸けで挑んだ無名の戦士たちがいた。キャシアンはその一人だが、彼は最初から勇敢な戦士だったわけではなく、もともとは体制に反抗する犯罪者、もっといえば不良に過ぎなかったのだ。 ■帝国に追われ、故郷を飛びだすキャシアン ドラマシリーズ第1話でのキャシアンは、惑星フェリックスで廃品回収業を営む男。生き別れた妹を捜している彼は別の星を捜索中、絡んできた帝国子飼いの大企業の番兵を射殺してしまう。企業の保安部はもちろん黙ってはいない。彼らがなにより恐れているのは、事件を解決できずに帝国に処分されること。かくしてキャシアンは、企業保安部の司令官カーン(カイル・ソーラー)に追われる身となる。そんな彼に救いの手を差し伸べたのが、ルーセン(ステラン・スカルスガルド)という謎めいた男。第3話までは、反乱軍のミッションに加わることを条件にフェリックスから脱出したキャシアンの、新たな人生への船出が描かれた。 第1話から、多くの人が気づくだろう。「あれ?これはいつもの『スター・ウォーズ』シリーズのノリと違うな」と。そう、「キャシアン・アンドー」は冒険劇のスリルを踏襲しつつも、徹底してリアルでシリアスなのだ。不良少年だったキャシアンは、様々なものに逆らい、それでも悪事がバレないように生きていた。一方で、家では年老いた母マーヴァ(フィオナ・ショウ)を思いやる優しい面もある。彼を追うカーンにしても、お役所仕事をまじめにこなしているにすぎない。どの登場人物も「スター・ウォーズ」らしいヒーローでもヴィランでもなく、普通の人生を送っていた普通の人間だった。 ■惑星アルダーニで帝国に対する反乱活動に足を踏み入れていく 故郷を離れたキャシアンは、帝国の侵略が進む惑星アルダーニにたどり着く。第4話からは、アルダーニを舞台に、帝国職員の給与を強奪するという任務に挑む、ヴェル(フェイ・マーセイ)が率いる反乱潜入チームと、それに加わったキャシアンの奔走が描かれる。この時点でも、キャシアンには帝国軍と戦う意思はない。任務に加わった理由は、ルーセンから提示された報酬のためである。 一方で、キャシアンが起こした殺人事件の捜査は帝国直轄の保安部に委ねられ、若い監査官デドラ(デニス・ゴフ)がその任に就いた。このデドラもまた、帝国内の官僚主義や男権主義のなかでもがいているキャラクターで、自分の意見が通らないことに苛立っている。そして、失脚したカーンは口うるさい母に尻を叩かれるように再就職する。このあたりの現実的な描写もおもしろい。 ■いわれのない罪で、刑務所「ナーキーナ・ファイブ」に投獄!? 第6話で潜入チームメンバーの命という犠牲を払いながらもミッションを成功させたキャシアンは巨額の報酬を受け取ってチームを去り、マーヴァの元へ戻る。その後は悠々自適な生活へ…と思いきや、いわれのない罪で、四方を海に囲まれた刑務所「ナーキーナ・ファイブ」に投獄されることに。給与強奪事件により帝国は締め付けを強め、疑わしきは罰する方向へと舵を切ったのだ。 厳しい監視下に置かれ、なにを作らされているかもわからないまま(最終話のポストクレジットでデス・スターの部品であることが明らかに!)、チームでの強制労働を強いられるキャシアン。暴力的に支配される日々を送るキャシアンは、やがてこの刑務所に隠された“ある秘密”を知ったことで脱獄を決意。キノ・ロイ(アンディ・サーキス)ら囚人仲間たちと協力し、計画を実行に移す。そんなこともつゆ知らず、デドラはフェリックスでの事件を追い続け、ルーセンの連絡役となっていたビックス(アドリア・アルホナ)らを執拗な拷問にかけて情報を絞りだそうとする。一方でルーセンは用済みとなり、自分のことを覚えているキャシアンを消そうと、ヴェルに暗殺を命じていた。 ■物語の舞台は再び、キャシアンの故郷フェリックスへ 第10話で脱獄に成功したキャシアンは、義母マーヴァが亡くなったことを知り、故郷フェリックスに戻ることを決意。最後に会った時、マーヴァは反乱軍による給与強奪事件に刺激を受け、帝国に対する反抗運動を試みようとしていた。それがキャシアンの仕業であると知ることもなく、だ。この事件に奮い立ったのは彼女だけではない。独裁を強める帝国に対して、銀河中の市井の人々が立ち上がろうとしていた。マーヴァの葬儀には多くの人が集まっていた。マーヴァの死を悼む、ブラッソ(ジョプリン・シブテン)らフェリックスの仲間たちだけではなく、キャシアンの逮捕に執念を燃やすデドラ、彼女に協力を申し出るカーン、キャシアンの暗殺を謀るヴェル、そしてルーセンまでも。 最終話では、マーヴァの反抗心が、そして、これまでに帝国に苦しめられて亡くなった人々の遺志がキャシアンの心にどんどん入り込んでくる。それによって、キャシアンはたしかに変化した。その“変化”はシーズン2で詳しく描かれることになるだろう。 ■『ローグ・ワン』に向かって、物語は大きく動きだす シーズン2のストーリーの詳細はわからないが、『ローグ・ワン』に直結するとのことなので、どこかの段階でキャシアンは反乱軍に正式に加わるだろう。彼を“反乱”の世界に引き込んだルーセンや、彼の戦友であり『ローグ・ワン』でも圧倒的な存在を放ったソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)、ヴェルら給与強奪作戦を成功させた戦友たち、そして政界で反乱軍に資金援助をしていた議員モン・モスマ(ジュネヴィーヴ・オーライリー)も再登場する。『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(エピソード6)』(83)で初登場したモスマは、正史でも活躍を見せてきたのちの反乱軍リーダー。キャシアンらのように戦闘の最前線に立つわけではないが、政治という戦場で戦い続けてきた彼女が、今後いかにして反乱軍リーダーとしての立場を確立していくのかも、注目したいポイント。キャシアンを敵として見ているデドラやカーンもシーズン1に引き続き登場。出会った当初反発しあっていたが、互いに高い志を持って帝国に尽くす2人がドラマのなかでどう絡んでくるのか、大いに気になる。 また、反乱軍の前に立ちはだかる最大の脅威がオーソン・クレニック(ベン・メンデルソーン)。彼がシーズン2に登場することは、否応にも『ローグ・ワン』への繋がりを意識せざるを得ないだろう。 シーズン1の最後で不良くずれからやや前進し、反乱軍入りを自ら志願したキャシアンと、『ローグ・ワン』で反乱軍の将校となっていたキャシアンとの間には、まだギャップがある。それを埋めるのがシーズン2。はたしてキャシアンは、どんな成長曲線をたどるのか?とにもかくにも、注目したい。 文/有馬楽

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