捜査や公判の刑事手続きをIT化する規定を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が18日、衆院本会議で賛成多数で可決された。現在は紙と対面のやりとりが原則だが、令状や訴訟記録の電子化、オンラインの活用が可能となり、手続きの円滑化が見込まれる。今後、参院で審議される。 改正案では、捜査機関が逮捕や捜索に必要な令状をオンラインで請求し、裁判所が電子データで発付する「電子令状」を認める。警察官らはタブレット端末で電子令状を捜査対象者に示して執行できるようになる。弁護人は、訴訟記録をオンラインで閲覧・謄写できるようになり、紙媒体を大量に複写するコスト負担が減る。 また、法廷と別の場所を映像と音声でつなぐビデオリンク方式の利用を、被害者参加制度や病気で出廷が難しい証人の尋問にも広げ、国民の負担軽減を図る。被告は病気や障害で出廷が困難といった場合に限り遠隔出廷できる。 一方、改正案で新設される罰則付きの「電磁的記録提供命令」に関する規定が修正された。 電磁的記録提供命令は、捜査機関が令状に基づき、捜査に必要なデータを保管する事業者らにオンラインなどでデータを提出させる制度。提供命令を受けたことの口外を禁じる秘密保持命令も出せる。ただ、秘密保持命令が出た場合、捜査対象者は自らのデータが提供されたことを知ることができず、是正を訴える機会が確保されないとの指摘が相次いだ。 自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主の各党は、無期限としていた秘密保持命令の期間を1年以内と修正することで合意。本会議に先立ち18日に開かれた衆院法務委員会で与野党5党が修正案を提案し、賛成多数で可決された。【三上健太郎】