特別養護老人ホームなどを運営していた社会福祉法人「母子育成会」(川崎市川崎区)の資金を横領したとして、神奈川県警は8日、同法人の元理事長・深瀬亮一容疑者(68)=同市幸区=を業務上横領容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。 逮捕容疑は2018年、2回にわたって法人口座から計200万円を横領したというもの。知人女性の暮らすマンションの家賃や女性との旅行費用、自身が所有していた競走馬の管理施設への預託金などに充てていたとみられるという。 この問題をめぐっては同法人は昨年、深瀬容疑者が02年以降、約8億5千万円を私的に流用していたとする内部調査結果を明らかにしている。同法人が業務上横領容疑で深瀬容疑者を刑事告訴し、県警が受理していた。 また川崎市は今年3月、法人に対する市の監査が適正だったかどうかなどの検証結果を公表。市は県から監査権限が移された16年度以降、監査をしていたが、法人の経営状況が厳しいことを認識しながら、前例踏襲的に同じ項目を監査し、実効性のある指導ができなかったなどと結論づけた。 深瀬容疑者は今年2月、朝日新聞の取材に対し、「事件については今お話しできることはない」と話していた。(中嶋周平、手代木慶)