強硬な薬物対策「麻薬戦争」を巡り国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)に拘置されているフィリピンのドゥテルテ前大統領(80)が、12日に実施された南部ダバオ市長選で当選を確実にした。 地元メディアによる開票速報で、他候補に大差を付けている。逮捕は政治的な迫害だと主張して同情票が集まったとみられる。海外で拘束されながら市長に就くのは、極めて異例だ。 ドゥテルテ氏は今年3月、自身が進めた麻薬犯罪撲滅策を巡り「人道に対する罪(殺人)」の疑いで逮捕された。麻薬撲滅の名の下に、私設の自警団や警察組織を用いて大統領の任期中に少なくとも6600人が殺害された疑いが持たれている。フィリピン下院は犠牲者は3万人以上と推計しており、ドゥテルテ氏が政敵も殺害対象にしていたとの証言もある。 フィリピン選挙管理委員会は、有罪が確定するまでは被選挙権を認めるとの判断を示しており、ドゥテルテ氏は拘置されたまま市長に就任する見通しだ。 ダバオ市はかつてドゥテルテ氏が20年以上にわたり市長を務めた地盤。マルコス大統領とドゥテルテ家の対立が深まる中、政治的な影響力維持を狙い、昨年10月に立候補を届け出ていた。【バンコク国本愛】