住人が死亡した火災現場から現金を盗んだとして、警視庁捜査一課の男が逮捕されました。男は3年前の10月ごろから約10件の犯行に及び、盗んだ総額は900万円以上にのぼるとみられていて、取り調べに対し「お金がいくらあっても将来のことを考えると不安になった」と供述しています。 “火事場泥棒”が逮捕されました。窃盗の疑いで逮捕されたのは、警視庁捜査一課・火災犯捜査第一係長の警部、政野亮二容疑者(51)。警視庁の取り調べに対し、容疑を認めているといいます。 去年11月、火災現場で捜査にあたる政野容疑者。以前も火災犯担当にいたエキスパートですが、捜査中に犯行に及んだとみられます。 こちらがその現場です。3年前の10月、渋谷区でアパートの一室が焼け、住人が死亡。政野容疑者は、部屋にあった現金およそ300万円を盗んだ疑いがもたれています。 近所の住民 「(当時)警察・消防が調べているのは見た。(現場は)もちろん封鎖されていた」 盗みの手口について政野容疑者は… 政野容疑者 「火災現場に臨場した際に、他の捜査員や消防隊員の目を盗んで犯行に及んでいた」 政野容疑者の業務は出火原因の調査。しかし、他の捜査員らが仕事に励む中、政野容疑者は100万円の札束3つをズボンのポケットなどに入れて盗んだとみられています。 さらに政野容疑者は今年1月にも、東京・江東区の火災現場で現金を盗んだ疑いがもたれています。現場は全焼し、住人は死亡。現金は1000円しか残らなかったとみられますが、政野容疑者はその1000円を盗んだということです。 近所の住民 「もう最悪。警察はそういう人を取り締まるためにあるのに。信用することもできない」 「もう世の中、何があっても不思議がない」 政野容疑者は、被害金額が証拠品としてリストアップされる前に盗んでいたといいます。 しかし、1月に匿名の通報が入り、警視庁が任意の事情聴取を行ったところ、政野容疑者が犯行の一部を認めたため、14日に逮捕したということです。政野容疑者は取り調べに対し、こう供述しているといいます 政野容疑者 「お金がいくらあっても将来のことを考えると不安になった」 警視庁によりますと、政野容疑者に借金はなく、金銭に困る状況は特になし。盗んだカネは生活費に使ったとみられ、口座には数百万円が残っているといいます。 去年4月には、卓越した技能を後進に継承するために指定される、警視庁の「技能指導官」に選ばれた政野容疑者。 これまでの供述などから、2022年10月ごろからおよそ10件の犯行に及び、盗んだ総額は900万円以上にのぼるとみられていて、警視庁は余罪を捜査しています。