大阪地検検事正だった北川健太郎被告(65)が部下への準強制性交罪に問われた事件で、被害を受けたとされる女性検事が21日、東京都内で記者会見した。元検事正が女性検事に宛て、直筆で「大阪地検のために訴えるのをやめて」などと口止めする内容をつづった書面を公表した。 元検事正の直筆書面(6ページ)は、被害から約1年後の2019年10月に女性に渡されたという。書面では「あなたに取り返しのつかない被害を与えたことを心から謝罪します」「償いといえるものも全くしていないことも心から謝罪します」と記した。 一方で、「上級庁に訴えることをお考えのようですが、私の命に代えてやめていただくようお願いします」「検事正による大スキャンダルであり、検察に対しても大きな批判がある」「わたしのためというよりあなたの属する大阪地検のためということでお願いします」などと被害の訴えをやめるよう求めた。 女性はこの日の会見で「大切な組織や職員を人質にされ、元検事正が言うような事態になることが恐ろしく、被害を訴えられなかった」と説明。また、事件の情報が地検内で広がる二次被害が起きていたとし、第三者委員会を設置し検証するよう求めた。 元検事正は18年9月、大阪市内の官舎で、酒に酔って抵抗できない女性検事に性的暴行を加えたとして逮捕、起訴された。24年10月の初公判で起訴内容を認め「被害者に深刻な被害を与えたことを謝罪します」と述べたが、その後「同意があると思っていた」「被害者が抵抗不能な状態にあったかどうか疑わしい」などと否認に転じる方針を弁護人が明らかにしている。