12・3非常戒厳を事前に謀議・実行した疑いで起訴されたノ・サンウォン元情報司令官が内乱事態で大きく注目されたのは、非常戒厳時のおぞましい実行計画が記された、いわゆる「ノ・サンウォン手帳」のためだった。 ハンギョレが今年2月に入手して報道した70ページの手帳では、「汝矣島(ヨイド)30~50人回収」、「メディア100~200(人)」、「民労総(民主労総)」、「全教組(全国教職員労働組合)」、「民弁(民主社会のための弁護士会)」、「御用判事」などが、500人あまりの「1次収集」対象者とされている。「吾陰里(オウムニ)、県里(ヒョンニ)、麟蹄(インジェ)、江原道華川(ファチョン)、楊口(ヤング)、鬱陵島(ウルルンド)、馬羅島(マラド)、前方の民統線側」など、逮捕対象者を収容する場所も示されており、「兵舎内の寝床爆発物使用」、「確認射殺必要」、「1つの刑務所を丸ごと収監飲食物、給水、化学薬品」などと、殺害計画とみられる文言もあった。 北朝鮮と接触して北朝鮮を利用するという方法も記されている。手帳には「非公式の方法」だとして「何を提供するか(北朝鮮との)接触時の保安対策」と記されている。また、「外部の委託業者による魚雷攻撃」、「NLL近くで北朝鮮の攻撃を誘導するか、そもそも北朝鮮によるだ捕の直前に撃沈する方法など」という、北朝鮮を利用することを意図したような文言もあった。 しかしノ元司令官は、中央選管の占拠と職員逮捕の準備、捜査団の要員の編成など、キム・ヨンヒョン前国防部長官と内乱を事前に謀議した疑いで起訴されたに過ぎない。ノ元司令官が取り調べの過程で手帳の内容についての供述を拒否したため、追加捜査と立証が困難だった、というのが検察と警察の説明だ。 しかし、ノ元司令官が尹前大統領の検察総長時代から大統領選挙勝利計画を複数作成したり、周囲に尹前大統領との親交をしばしば語ったりしていたことが明らかになったことで、手帳に記された恐ろしい計画も単なる妄想ではなかった可能性が高まっている。ノ元司令官の手帳の中の計画が尹前大統領に伝えられていた可能性も排除できない。 北朝鮮の攻撃を誘導するなどのノ元司令官の一般利敵容疑などは、特検捜査によって究明すべきだとする声があがっている。「大韓民国の軍事上の利益を害すか、敵国に軍事上の利益を供与」する一般利敵罪の法定刑は、無期または3年以上の懲役だ。民主社会のための弁護士会検警改革小委のイ・チャンミン委員長は、「ノ・サンウォン氏は主要容疑で起訴されたが、手帳の内容については外患や殺人未遂などの立証されるべき数々の余罪が残っている」として、「現状において捜査機関による立証が難しいなら、特検を導入してでも余罪に対する捜査を続ける必要がある」と述べた。 クァク・チンサン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ [email protected] )