1万人から53億円詐取か 出会い系うたい詐欺疑い、トップを逮捕

出会い系サイトの利用料名目で現金をだまし取ったとして、警視庁と福岡県警の合同捜査本部は27日、職業不詳、石垣勇輔容疑者(41)=東京都江東区有明1=を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などの疑いで逮捕したと発表した。詐欺グループの幹部で、被害者とメッセージのやり取りをする「打ち子」らの現場を統括する実務者のトップとみて調べる。 グループは少なくとも、副業紹介を含めて四つのサイトを運営し、2024年5月までに、約1万人から約53億円を詐取していたとみられる。合同捜査本部は石垣容疑者の上に組織を束ねる代表者がいるとみて実態解明を進める。 逮捕容疑は仲間と共謀して21年2月~22年7月、運営する出会い系サイトに登録した千葉県の40代女性と埼玉県の20代女性に「チャット利用に必要な費用を支払えば男性会員と個人情報を交換できる」とうそのメッセージを送り、計約1100万円をだまし取ったとしている。警視庁は認否を明らかにしていない。 警視庁犯罪収益対策課によると、グループは副業を紹介するとうたって「サポー」の名称でサイトを運営し、登録料名目で現金を詐取していたなどとしてメンバーが逮捕されている。今回で逮捕者は89人となった。 グループは分業制を敷いており、被害者を誘導する「サクラ」や被害者とやりとりする打ち子らの「運営部門」▽詐取金の管理や回収、クレーム対応を担う「法務部門」▽グループ内の経費を管理する「経理部門」――が確認されている。石垣容疑者はこの三つの部門を統括・指示する立場だったとみられる。 打ち子は、東京、埼玉、宮城、福岡の4都県に計5拠点を置いて活動。SNS(交流サイト)のメッセージ機能を使って、出会い系サイトに誘導したり、被害者とやりとりをする異性を装ったりしていた。 法務部門はクレームに対し、被害者が支払った代金の最大半額までの返金に応じつつ、被害届の提出や民事訴訟を起こさせないよう合意書への署名を集めていたという。【長屋美乃里】

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