未成年者の患者ら299人に性的暴行 フランス元外科医に禁錮20年

25年にわたり未成年の患者など299人に性的暴行などを加えたとして、フランス西部バンヌの裁判所が28日、元外科医のジョエル・ルスクアルネック被告(74)に禁錮20年の実刑判決を下した。ルスクアルネック被告は2005年に児童ポルノを所持したとして一度逮捕されていたが、それ以降も医師として勤務し続けて被害が拡大したため、フランス国内では医療・司法行政の責任を問う声も出ている。 仏紙ルモンドなどによると、ルスクアルネック被告は西フランスの公立病院で勤務していた1989~14年、麻酔下の患者らに性的暴行を加えるなどした。被害者の内訳は男性が158人、女性が141人で、被害を受けた当時の平均年齢は11歳だった。20年に別の性暴力事件で禁錮15年の刑を受け、すでに服役している。 禁錮20年は検察の求刑通りで、フランスでの性的暴行を巡る最高刑となった。ルスクアルネック被告は公判で起訴内容を認め、ロイター通信によると、弁護士は控訴しない方針を示している。 ただ、検察側は、刑期を終えた後も再犯を防ぐために監視センターに収容することを保証するよう求めたが、裁判所は退けた。被害者や支援団体などの間では不満が出ている。 また、ルスクアルネック被告は05年、児童ポルノ画像をダウンロードしたとして執行猶予付きの禁錮刑判決を受け、罰金も支払っていた。だが、医師免許を剥奪されずに病院で勤務し、未成年の患者も担当し続けた。被害者らは、行政の過去の対応にも責任があった可能性があるとして、複数の省庁に検証を求めている。 事件は17年、近所の少女が被害を親に相談したことをきっかけに警察が被告の自宅を調べ、過去に性加害を加えた子どもらについて詳細を記録した電子記録を見つけたことで発覚した。捜査当局から連絡を受けるまで、被害を自覚していなかった人もいた。 記録の冒頭には「私は小児性愛者で、将来もずっとそうだ」と書かれていたという。【ブリュッセル岡大介】

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