国指定天然記念物のオカヤドカリを無許可で所持したとして中国籍の男3人が逮捕された文化財保護法違反事件で奄美署は29日、事件の早期解決に多大な功労があったとして奄美市内のホテル従業員らに感謝状を贈った。 中国籍の男3人は4月30日から市内ホテルに滞在。文化庁長官の許可を受けず、約1週間にわたって奄美大島の5カ所の海岸でオカヤドカリ5千匹以上を捕獲し、罰金30万円の略式命令を受けた。奄美署によると、「過去にネット上で売買した経験があり、今回も売る目的だった」と供述している。 表彰されたのは、3人が宿泊していたホテルビッグマリン奄美と、同施設支配人の田畑敬一郎さん(47)、従業員の鈴木一平さん(35)、奄美市立奄美博物館学芸員の平城達哉さん(33)、奄美海洋生物研究会会長の興克樹さん(54)、奄美海洋展示館(竹岡紀崇館長)の2団体4個人。 田畑さんと鈴木さんは、3人が島を離れる前に異変に気付いて関係機関に通報。平城さんと興さんはオカヤドカリの個体識別に尽力し、奄美海洋展示館は押収されたオカヤドカリの一時保管と飼育を担っている。 感謝状を受け取った田畑さんは「観光業に従事しているものとして、島の自然や文化を守ることが、お客さまに来ていただけることにつながると考えている。島民みんなで守っていこうという機運が高まれば」と述べた。 平城さんは「市としては看板設置やポスター掲示、普及啓発の講演会を開くなどして、持ち出し事案防止に取り組みたい」と話した。