警察庁は2日、全国の警察本部長を集めた定例の会議を東京都内で開いた。楠芳伸長官は、川崎市で女性が遺体で見つかり元交際相手の男が逮捕された事件をふまえ、ストーカーやDVなどの「人身安全関連事案」について、関係部門が連携して組織的に対応し、被害者の安全の確保を最優先にした対処を徹底するよう指示した。 川崎市の事件では、岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)が昨年6月以降、白井秀征(ひでゆき)容疑者(27)による暴力やつきまといなどについて警察に繰り返し相談や通報をしていた。昨年12月に行方不明となり、県警は4カ月以上経ってから捜索し、遺体を発見した。県警は検証チームを設置し、対応や捜査の問題点を調査している。白井容疑者は死体遺棄罪などで起訴され、岡崎さんに対するストーカー規制法違反容疑で再逮捕された。 楠長官は事件について「結果として重大な事案への発展を防ぐことができず、警察庁としても重く受け止めている」と言及。人身安全関連事案は事態が急展開し重大事件に発展するおそれが極めて高いとして、事案の認知段階から警察本部が関与し、本部と署、生活安全部門と刑事部門が緊密に連携して組織的に事案を管理して、「相談者や関係者の心情に寄り添った対応」を徹底するよう求めた。 また、夏に予定される参院選で違反取り締まりと要人警護に万全を期すよう指示した。安倍晋三元首相の銃撃事件と岸田文雄前首相への爆発物使用襲撃事件が選挙期間中に起きたことをふまえ、組織に属さない単独の攻撃者(ローンオフェンダー)の対策などの徹底を求めた。(編集委員・吉田伸八)