「戦争を想起させる」と報じた東京新聞「こち亀」イラストの葛飾区広報紙への抗議は大多数の「民意」だったのか?メディアが作る社会問題というもう一つの脅威、察知し対応していくためには

<「こち亀」イラスト使った葛飾区に複数の抗議 広報紙に迷彩柄のヘリ、編隊飛行…「戦争を想起させる」>──。 東京新聞は2025年5月27日、東京都葛飾区が発行する広報紙「かつしか」3月15日号に、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称「こち亀」)のイラストが掲載されたことに対し、「自衛隊機が飛ぶ中で、喜んでいる絵は広報にふさわしくない」「『非核平和都市』を宣言している区がやることではない」などの抗議がメールや封書などで区に“複数”届いていると報じた。 一方、グーグルトレンドを使って25年5月2日〜6月2日を対象に「こち亀」「戦争」「広報」の用語で検索したが、話題にされた形跡は全く見られなかった。SNS(X)を見ても東京新聞報道前に「広報かつしか」を問題視する声はほとんど確認できず、記事を報じた東京新聞のSNS(X)ポストは6月3日時点でさえ表示回数(PV)3361、リポスト(RP)18、いいね8に留まっている。 むしろ東京新聞報道から3日後、これを「一部報道で問題視された」と報じた産経新聞報道がきっかけに広く認知され、東京新聞報道に疑問や反論を訴える声が広まった形だ。(産経新聞のXアカウントにはPV27.4万、RP1835、いいね5116が付けられている) 「広報かつしか」を問題視する“複数”とは具体的にどの程度だったのか。東京新聞では、抗議数を明らかにしない。抗議文などを提出したのは、区民有志の団体「2025葛飾憲法集会実行委員会」や「かつしか人権ネット」と記事では紹介している。 東京新聞は、なぜ大きな話題になっていないとも言える問題を一部の団体の声を取り上げて報道したのか。東京新聞は「社会問題を取材した」のではなく、「自ら社会問題にしようとした」のではないかと思えてしまう。

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