大阪教育大学附属・池田小学校(大阪府池田市)で児童8人が死亡、15人が重軽傷を負った事件から24年となった8日、池田小の慰霊碑前で「学校安全の日」の追悼式典が営まれた。 池田小では事件を教訓に2009年から「安 全科」という授業を設け、命を守る教育を続けている。 今年も6年生3学級で「命の大切さ」を考える授業があり、その一部が報道陣にも公開された。 事件を忘れず、二度と起こさないために次世代に語り次ぐことは何かを児童に問いかけた。 池田小では今年(2025年)、6年生全員が国の教育振興基本計画に示された、学校の安全な環境を推進する「セーフティープロモーションスクール」(SPS)のサポーターとなった。 こうしたことから、この日の授業では、単に安全に配慮した学校づくりをするのが目的ではなく、命を守り、大切にする取り組みこそが重要だと訴えた。 続く追悼式典には遺族のほか、全校児童600人や教員、来賓ら約765人が出席した。事件の発生時刻、午前10時12分にあわせ、亡くなった児童の名前が刻まれたモニュメント「祈りと誓いの塔」の8つの鐘を鳴らし、参列者が黙祷をささげた。 事件から24年が経過した。今年度(2025年度)になり、事件当時を知る教員がいなくなった。 荒川真一校長(51)は2010年に池田小に赴任、副校長や他校の教頭を経て、今年(2025年)4月、校長として再び池田小に戻った。「事件から24年がたち、事件当時の学校関係者も年齢を重ね、学校現場から退く世代になりつつある。世界には争いごとが絶えない。さまざまな異なる価値観を寛容できる、大きな心を持つことが『共に生きる』ことだ。人を傷つける側の人間ではなく、人を守る、支える側の大人になってほしい」とコメントした。 荒川校長は式典後、事件当時に在籍していた教員が1人もいなくなったことについて、「いつかはこういう日が来るだろうと思っていた。しかし、今まで積み重ねてきたものは残っている。今後も子どもたちも含めて『語り伝えること』が大切。事件当時にいなかったから語る資格がない、ということではない。学校全体の課題として取り組みたい」と話した。 その上で、「日ごろ教員が子どもたちに声をかける際、優しく、温かい言葉が子どもの心に響く。そして自尊心豊かな大人になっていく。子どもたちを守ることはもちろん、人を傷つけない人間を育てることも大切だ」と誓った。 《大阪教育大附属・池田小児童殺傷事件》 2001年6月8日午前10時12分ごろ、包丁2本を隠し持った宅間守・元死刑囚が、学校東側の門から校内に侵入。校舎1階の教室や廊下で児童らを次々に襲い、2年の女子児童7人と1年の男子児童1人が死亡、児童13人と教諭2人が重軽傷を負った。元死刑囚は現行犯逮捕された。一審・大阪地裁で2003年、死刑判決が言い渡され、控訴を取り下げ刑が確定した(2004年9月死刑執行時・40歳)。 国や学校はその後、学校の安全管理の不十分さを謝罪、事件を機に全国で学校の安全を見直す動きが広がった。