東京都千代田区が発注した工事の入札情報を業者に漏らしていた官製談合事件で、区は9日、情報を漏らしたとして昨年1月に官製談合防止法違反の疑いで逮捕され、その後に有罪判決を受けた元区職員に対し、退職手当の返納命令処分を発令したことを明らかにした。退職手当の9割に相当する額の返納を求めたという。区は退職金額を明らかにしていない。 事件を巡っては、元職員の男性(63)が区の行政管理担当部長を務めていた令和2年4~7月、区が執行予定だった複数の一般競争入札で、入札参加業者数などの情報を区の契約事務担当者から聞き出し、当時の区議会議員=辞職=に教えていた。元区職員は6年1月に官製談合防止法違反の疑いで逮捕、起訴され、東京地裁が同年6月、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡していた。 区は今年2月に特別区人事委員会に元職員の処分について諮問。答申を受けて今回の処分を決めたとしている。 区によると、返納命令は文書の郵送によって本人に通達。今後返納されない場合は、法的措置など「何らかの手段を取ることを検討している」(区担当者)という。樋口高顕区長は今回の処分について、「区は不祥事を重く受け止め、再発を防止する観点から厳正に対処した」と説明するコメントを発表した。