米軍は9日、西部カリフォルニア州ロサンゼルスで不法移民の一斉摘発に端を発した抗議活動に対処するため、海兵隊約700人を派遣すると発表した。州兵約2100人と合流し、連邦政府の職員・施設を保護する。さらに国防総省のパーネル報道官は声明で、トランプ大統領が追加で2000人の州兵の出動を命じたと明らかにした。 同州のニューサム知事（民主党）は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、海兵隊派遣は「挑発」であり、「怒りと恐怖、分断をまき散らすだけだ」と非難。トランプ政権の強硬な不法移民対策を巡り、政治対立が先鋭化している。 カリフォルニア州は9日、今回の州兵動員は大統領権限の逸脱で、違法だとして連邦地裁に差し止めを求めて提訴した。訴状で州側は、大統領が知事の反対を押し切って州兵を動員できるのは「最も差し迫った状況」に限られ、今回はそれに当たらないと主張している。 ニューヨーク・タイムズによると、米大統領が知事の要請を受けずに州兵を出動させるのは1965年以来であり、極めて異例だ。65年は当時のジョンソン大統領が人種隔離政策を支持する地元知事と対立し、公民権運動のデモ参加者を守るため州兵を動員したという。 トランプ氏は抗議活動が拡大した7日に州兵2000人を派遣する大統領覚書に署名し、約300人を中心部などに展開した。自身のソーシャルメディアで9日、「素晴らしい決断だった」と自賛した。 米メディアによるとロサンゼルス中心部などでは9日もデモ参加者と部隊の間で小競り合いが頻発したが、激しい衝突は起きていない模様だ。ニューヨーク・タイムズによると、ロサンゼルスで6日以降の逮捕者は150人以上に上っている。【ワシントン金寿英】