米国防長官、LA以外にも軍派遣の可能性 海兵隊見切り発車の様子も

トランプ米政権による不法移民の取り締まり強化に対する抗議活動は、11日も西部カリフォルニア州ロサンゼルスをはじめ、全米各地で行われた。ヘグセス国防長官はこの日、先に州兵と海兵隊員の派遣を発表したロスに加え、他の地域にも州兵を派遣する可能性を示唆した。 ただ、米メディアは、国防総省が海兵隊の派遣決定後にデモ対応に関する指針作りを進めたと伝えており、見切り発車の様子もうかがえる。 ヘグセス氏は連邦議会上院の公聴会で「法執行官が脅威にさらされる場所で他の暴動があれば、必要に応じてそこへ州兵を急派する能力がある」と語り、派遣をロス以外にも拡大する可能性をにじませた。全米に拡大している抗議活動などが念頭にあるとみられる。 公聴会では、軍派遣の法的根拠などに関する質問が相次いだ。ヘグセス氏は、市街地への派遣について「法と秩序」を維持するための努力の一環であり、合法的だと繰り返し説明した。しかし、民主党議員が憲法上の疑義を指摘する場面もあった。 一方、CNNなどによると、国防総省の派遣発表を受けて10日に現地入りしたと報じられていた700人の海兵隊員は、11日時点でまだロスには到着していない。カリフォルニア州の軍施設で「2日間の集中訓練」を受けているという。 北方軍司令部の広報担当者はCNNに対し、海兵隊員が現場で任務に就く時期は明確になっていないと話した。 海兵隊員らが今回担うのは、不法移民の取り締まりを行う移民・税関捜査局(ICE)職員や連邦政府施設などの保護だ。海外での通常任務とは大きく異なる。AP通信によると、派遣決定後に急きょ、今回の任務の具体的な活動指針などが作成されたという。 ロスでは11日もデモ参加者と警官隊がにらみ合い、10日に続き一部地域に夜間外出禁止令が出された。 ホワイトハウスのレビット報道官は11日の記者会見で、ロスでデモが発生した6日以降に拘束した不法移民は330人に上り、うち113人は犯罪歴があったと指摘した。また、火炎瓶を警官隊に投げて殺害しようとした容疑者を含む計157人を暴行などの容疑で逮捕したと発表した。【ワシントン西田進一郎】

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