米当局拘束の活動家、トランプ政権は「拘束も国外追放もできない」と裁判所

米ニュージャージー州の連邦地方裁判所の判事は11日、パレスチナ支持の抗議活動に関与したとして3月に米当局に拘束された米コロンビア大学卒業生のマフムード・ハリル氏(30)について、ドナルド・トランプ政権が国外追放も拘束の継続もできないとの判断を示した。 ただ、マイケル・ファービアーズ判事は、連邦政府に控訴する時間を与えるため、今回の判断による命令は13日朝まで効力を持たないとした。少なくともそれまでは、ハリル氏の拘束は続く。 判事は書面での判決で、合法的な永住者であるハリル氏を拘束し続けたり、国外に追放したりする、やむを得ない理由はないと述べた。 ニューヨークの自宅で逮捕されたハリル氏は現在、ルイジアナ州の拘束施設に入れられている。 ハリル氏は昨年、ニューヨークのコロンビア大学で繰り広げられた、イスラエルによるガザ地区攻撃に反対する抗議行動で、中心的な存在となり注目された。 トランプ政権は、米各地の大学キャンパスで昨年、学生らが敷地を占拠し、パレスチナ・ガザでの戦争に抗議したことをめぐり、広範な取り締まりを進めている。ハリル氏はその一環で逮捕された。 ハリル氏の逮捕時の様子をとらえた動画がソーシャルメディアで拡散されたほか、拘束中の4月に子供が生まれたことも大きく報じられた。 マルコ・ルビオ国務長官は、ハリル氏の存在と活動が、アメリカの外交政策上の利益の利益に悪影響を及ぼしているため、同氏を国外追放すべきだとの判断を示している。しかし連邦地裁判事は11日、これがハリル氏の拘束や国外追放の理由になり得るのかは疑問だとした。 判事はまた、ハリル氏の「キャリアと評判が損なわれ、発言が抑制されている。これは回復しがたい損害につながる」とも指摘。この訴訟で勝利するのはハリル氏だと予想しているとした。 連邦政府は控訴する見通し。 ■弁護団は「勝利」を歓迎 ハリル氏を弁護する人権団体「アメリカ自由人権協会(ACLU)」は、今回の命令をハリル氏の勝利として歓迎する声明を発表した。 「本日の判決は、憲法と米市民および非米市民の権利にとって、大きな勝利といえる」と、ACLUのブレット・マックス・カウフマン弁護士は述べた。「政権の政治的信念のために誰かが投獄されたり、国外追放されたりすべきではない」。 ハリル氏の妻ヌール・アブダラ氏は、「自分と、生まれたばかりのディーンと一緒にいられるよう」、夫の即時釈放と帰宅を求めている。 妻はACLUが公表した声明の中で、「マフムードが自由の身になるまで、私は休むつもりはない。夫が私たちと一緒に、初めての父の日を自宅で過ごせるよう願っている」とした。 (英語記事 Judge says Trump cannot deport or detain Mahmoud Khalil)

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