立憲民主党の福山哲郎参院議員は12日の参院外交防衛委員会で、民主党政権下の平成22年9月7日に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で中国人船長を釈放した対応について、「腰抜けといわれたが、日本の施政権が尖閣諸島に及ぶことを示した」と述べた。 ■中国側「無条件釈放を」 当時、福山氏は菅直人政権の官房副長官を務めていた。「言えないことがたくさんあるが、あえて言っておきたい」として語り始めた。「出入国管理法ではなく、海保の巡視船に衝突したので公務執行妨害で逮捕した。ある意味では、刑事手続きのプロセスに入った。船長は罪状を否認していたので、那覇地検は勾留を延長した」と説明した。 その際の反応に関して福山氏は「中国は大変な抗議だった。日本の財界、自民党の古い政治家も含めて『なんとか無条件で釈放しろ』というのが中国側の主張だった。一にも二にも、日本が刑事手続に入ったからだ。刑事手続きに入ることによって、日本の施政権が及ぶということを国際社会に示されるのが嫌だったので、中国はかなり、本当に厳しかった」と振り返った。中国によるレアアースの対日輸出の事実上の停止や日本の会社員拘束などもあった。 ■「野蛮な対応」 船長の釈放を求める働きかけに対し、福山氏は「日本の刑事手続に入った限りは、それを外して釈放なんかすると、指揮権発動しかあり得ないので、そんなことはできない。結果として、刑事手続きを完結させて、船長を起訴猶予で釈放して送還した」と語った。政府は釈放について「検察の判断」としていた。福山氏は「抗議も含めて、国際社会では中国は非常に野蛮な対応をしたという雰囲気になっていた。国内では『なぜ釈放したのか』『腰抜け』といわれたが、現実の問題で言えば、日本の刑事手続きは完結し、日本の施政権が尖閣諸島に及ぶことを示した」と対応の正当性を強調した。「中国にとっては、おそらく相当、今も嫌なことだと思う」とも語った。そのうえで、当時は海保による逮捕後のマニュアルがなかったと明らかにし、政府に認識や今後の対応策をただした。 岩屋毅外相は「わが国の領海内で生じた事案についてわが国が行う司法手続きは当然、日本の国内法に基づくものであって、これが施政権の行使に当たるのは当然だ。今後のことについては、指摘も参考にしながら、しっかりと検討していきたい」と語った。