◇日並大輔さん(51) ペットボトルに持ち手をつけて、剣道やフェンシングのように戦う「ブレード・ボトル・バトル(BBB)」を考案した。スポーツチャンバラの元世界チャンピオンで、道具の購入が難しい発展途上国でもできる武道や護身術として考案。国内でも武道初心者が簡単に始められる競技として普及に取り組んでいる。 大学時代は日本拳法部で活動。1997年に兵庫県警に入り、99年、2000年にかけて県警の逮捕術の「特別訓練員」を務めた。その後、子どもの影響でスポーツチャンバラを始めた。07年には世界大会長剣の部で優勝、翌年は短刀の部で優勝した。 BBBを考案したきっかけは、出向中の仕事で発展途上国に行った時のことだった。現地でもプライベートで武道を子どもに教えた。スポーツチャンバラ教室をのぞくと、剣のうち空気で膨らませるゴムチューブの部分が暑さで溶け、空気を入れられなくなっていた。防具も高くて買えないという話も聞いた。 「日本の剣道をやりたくても、防具が傷む。竹刀を作ろうとしたが、竹の性質が違う」。そんな話を聞いたことも重なり「安い道具で武道ができないか」と考えた。たどりついたのがミネラルウオーターのペットボトル。安く、どこでも入手でき、当たっても痛くないため、防具の必要性も低かった。 持ちにくさが課題だったが、帰国後、ペットボトルに取り付けて猫に水を与える器具を見たことがヒントになった。ペットボトルの蓋(ふた)の代わりに、持ち手がついた器具を取り付けることを思いついた。 持ち手の長さは10センチで、プラスチック製。中心には小さな穴が貫通していて、ペットボトルの中が密封されないようにしている。そのため、ボトルが体に当たっても痛くない。練習でボトルが傷めば交換も簡単だ。 わかりやすいルールも決めた。6点先取で、頭部と胴体に攻撃が決まれば3点、四肢なら1点。ヘッドギアをつければ、頭部への打撃も認められる。 今は神戸市垂水区で月1回の頻度で道場を開いている。「これが、いつか誰かの身を助けることになったら本望ですね」。道場の日程などはホームページで公開している(https://www.bladebottlebattle.com/)。【柴山雄太】