2025年5月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●5月 【事故】大型連休中にバスなどが関連する多重衝突事故が相次ぐ [被害]負傷者23人 大型連休終盤の2025年5月4日、5日に10人以上が負傷する衝突事故が相次いで発生した。 5月4日16:50頃、佐賀県佐賀市の長崎自動車道の金立SA付近の上り線で、大型観光バスが渋滞で止まっていた乗用車に追突するなどあわせて3台が関係する衝突事故が発生した。この事故でバスの乗客や乗用車に乗っていた人など12人が搬送された。観光バスは佐賀県武雄市から福岡県福岡市に向かっていた。 5月5日11:20頃、神奈川県横須賀市大滝町2丁目の交差点で、路線バスや複数の乗用車などあわせて9台が関係する多重衝突事故が発生した。この事故で11人が病院に搬送された。最初に追突事故を起こした乗用車を運転していた30代の男性から基準値の約3倍のアルコールが検出されたことから、警察は道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで運転手を現行犯逮捕した。また、6月11日に自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで再逮捕した。 【事件・事故】下校中の小学生が車にはねられる事件や事故が相次ぐ [被害]負傷者16人 2025年5月1日午後、大阪市西成区の小学校近くで、下校中の複数の小学生が車にはねられ、小学2年生~3年生の児童7人が重軽傷を負った。車は故意に小学生の列に突っ込んだとみられ、運転していた20代の男が殺人未遂の疑いで逮捕された。男は警察の調べに対し「児童をひき殺そうとした」と供述していて、小学生をはねたのと同じ車が事件前に別の小学校付近を通る様子が防犯カメラに記録されていたことも捜査によって判明した。 また、5月14日午後、埼玉県三郷市で、市道の路側帯を歩いて下校していた小学生約10人の列に後方から乗用車が突っ込む事故があった。この事故で、小学6年生の児童4人が重軽傷を負った。事故を起こした車の運転手は救護措置を実施せずに現場から逃げたが、翌15日に逃走した車が現場から約2km離れた場所で発見され、18日には車を運転していたとみられる40代の男が自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕された。その後の防犯カメラやドライブレコーダーなどによる捜査で、男が事故直前に同乗者とともに三郷市内の飲食店で飲酒していたことが明らかになった。 5月19日午後には、福岡県筑紫野市の交差点で、下校中の小学生の列に軽乗用車が衝突する事故があった。この事故で、小学4年生の児童4人と車を運転していた70代の女の計5人が重軽傷を負った。交差点を左折しようとした車が曲がりきれずに道路脇の建物にぶつかって横転し、その前後で路側帯を歩いていた小学生を巻き込んだとみられている。現場付近は交通量が多く、踏切もあり渋滞が発生しやすいことから、福岡県や筑紫野市などによって「危険な通学路」として指定されていた。 【自然災害】北海道太平洋側で震度4を観測する地震相次ぐ 2025年5月中旬以降、北海道の太平洋側を震源とするM5~6程度、最大震度4を観測する地震が相次いで発生した。 ・5月15日22:05頃 十勝地方中部 深さ95km M4.7 太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震 震度4(北海道浦幌町) ・5月23日06:28頃 浦河沖 深さ53km M5.4 太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震 震度4(北海道浦河町、様似町) ・5月26日17:47頃 十勝地方南部 深さ50km M5.3 太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震 震度4(北海道浦河町) ・5月31日17:37頃 釧路沖 深さ20km M6.0 陸のプレート内で発生した地震 震度4(北海道釧路市、えりも町、浦幌町、釧路町、標茶町、標津町) ・6月2日03:51頃 十勝沖 深さ27km M6.1 太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震 震度4(北海道大樹町、浦幌町) これらの地震のうち、5月31日の釧路沖と6月3日の十勝沖の地震では、津波予報(若干の海面変動が予想されるが被害の心配なし)が北海道太平洋沿岸東部と太平洋沿岸中部(6月3日の地震ではさらに岩手県)に一時発表された。なお、いずれの地震とも大きな被害の情報はなかった。 今回の一連の地震の震源域は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の範囲内にあり、モーメントマグニチュード(Mw)7.0以上の地震が発生した場合は、その後一週間程度、巨大地震発生への注意が呼びかけられることになる。 今回の地震は、いずれもM5~6程度でそれぞれの地震の震源が離れていることなどから、気象庁や政府の地震調査委員会はそれぞれの地震に関連はなく、巨大地震の発生に影響があるものではないとの見解を示している。その一方で、この地域は普段から地震活動の活発な地域であり、これまでも繰り返し規模の大きな地震が発生していることから、日頃から地震への備えを進めるよう呼びかけている。