根強い談合体質 業界内に「もたれ合い」の構図 大分市入札妨害

「20年前とかは、人が大勢いて仕事が少なかった。やけん、そういう風習が生まれたんだと思う」。大分市内のある造園業者は、業界内に根強い「談合体質」を打ち明ける。 市発注の除草委託業務を巡る入札妨害事件で、社長が逮捕された「ヒロセ」は、以前から市発注の業務を請け負う「老舗」。新たに社長が逮捕された「新名緑化」も市とは30年来の取引があり、毎年2~3件の業務を受注していた。 市にとってなじみの2社が不正に手を染めた背景にも、業界内の「もたれ合い」の構図があったとみられる。 関係者によれば、ヒロセに絡む事件があったとされる2024年5月13日の入札では、複数の業者間で受注調整が図られ、あらかじめ落札業者が決まっていた疑いがあるという。市内の別の造園業者も談合への関与は否定しつつ、「『ちょっと忙しいからやって』と業者間で調整することはある」と明かす。 一方で、市議だった山本卓矢容疑者(45)に働きかけてまで入札情報を得た疑いについて、同業者は「リスクと受注金額が釣り合わない」と口をそろえる。民間の情報調査会社によると、ヒロセは24年5月期には1億4200万円を売り上げ、造園業者としては経営規模が大きく、市内に優良不動産も所有。新名緑化も中古車販売などの事業も手掛けていた。 ヒロセと新名緑化が立件された業務委託の受注金額は、1件当たり288万~399万円。同業者によれば、その程度の金額の場合、積算ソフトを使えば、予定価格から1割ほど安い金額で入札できる。 この業者は「特にヒロセさんは土地ももっちょるけん、造園業をやらなくても十分食っていける。何十万かのためにそんなことをする会社でもないのに」と首をかしげる。 別の同業者も「予定価格はみんなできたら知りたいが、そこまでする金額だったのかとは思う。罪に問われることは分かっていたはずだ」と言う。【岡田愛梨】

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