アンパンマンが「全裸で逮捕」? やなせたかし渾身の「マンガ版」の衝撃的内容

国民的人気作品『アンパンマン』を生んだやなせたかしさんと、妻の小松暢さんをモデルにした物語のNHK連続テレビ小説『あんぱん』が、毎日大きな話題となっています。同作の公式サイトでは、「『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語」と謳われておりますが、実際にやなせさんがたどり着くことになる『アンパンマン』には複数の形式があります。 私たちがよく知るのは1988年から放送されているアニメ『それいけ!アンパンマン』ですが、それ以前から「絵本」「紙芝居」「ミュージカル」などの媒体で、子供たちに親しまれてきました(最初は人間の姿だった、という話は有名ですね)。とりわけ「絵本」「紙芝居」はいまでも書店や図書館で気軽に触れることができるので、アニメとは違う「やなせタッチ」のアンパンマンに親しんだ人も多いでしょう。 そういったアニメ以前の『アンパンマン』のなかで、現在、顧みられることが少なくなったのが、マンガ版『アンパンマン』ではないでしょうか。思えば、やなせたかしさんは漫画家です。「月刊いちごえほん」という、やなせさん自身が編集長を務める雑誌には、1976年から1982年まで『アンパンマン』のマンガ版が掲載されていました。 そのマンガ版の内容はアニメのイメージとはだいぶかけ離れており、「ギャグ」テイストが強めです。 たとえば、「ジャムおじさん」が誕生したばかりの「アンパンマン」のために服を作ってあげようとすると、「ぼくは はだかのほうが いいよ」と外へ飛び出し、警察らしき人にこっぴどく叱られる、という場面もあります。全裸で補導されかけるアンパンマンは、かなり貴重です。 また、良かれと思い顔をあげようとしたら、拒否されるということもしばしばありました。目の前で、子供から「いらない」と拒絶されるアンパンマンの哀愁は、かなりのものです。 他にも「めいけんチーズ」が、初登場時では「バイキンマン」側の手先だったり、「バタコさん」が妙に自信過剰のおてんば娘だったりと、キャラクターの性質がアニメ版とは異なるなかなかの衝撃作です。これを読むと、やなせたかしさんは漫画家なのだということが、よく分かります。 長らく絶版でしたが、『だれも知らないアンパンマン -やなせたかし初期作品集』として、2016年に復刊ドットコムから再び刊行されました。「原作」というか「原液」に近い、濃厚なやなせワールドを堪能したい人は、手にとってみてはいかがでしょうか。ちなみに『それいけ!アンパンマン』公式サイト内では、マンガ版に関する言及はありませんが、他意はないと思われます。

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