フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は25日、東京・有明アリーナで定時株主総会を開いた。元タレント中居正広氏(52)による「性暴力」への不適切な対応から生じた経営の混乱を立て直すため、社長に昇格予定の清水賢治専務ら計11人が取締役に就くとするHD側の新体制案を承認。総会は約4時間半に及び、出席株主数は昨年から約20倍増の3364人となったが、総会は大きく荒れることなく、まずは順調に“再出発”の第一歩を刻んだ。 激震が続くフジHDにとって、再生のための第一歩と位置づけられる今回の株主総会。15年7~9月放送のフジテレビ系ドラマ「リスクの神様」も監修した、危機管理の専門家であるゼウス・コンサルティング株式会社代表取締役社長・白井邦芳氏がデイリースポーツの取材に応じ、フジ側の対応に一定の評価をしつつ「60点」と厳しめに採点した。 白井氏はフジテレビの現状について「本体および親会社のキーとなる役員が代わる節目で、しかも長い再生の道のりをスタートさせたばかりの状況」と指摘。今回の株主総会での狙いを「株主提案をしのいで、フジテレビ側が推奨する取締役に選任できるかが、今後の再生やコンプライアンス改革を急ピッチで進めるための会社の最善策と考えていたのでは」と推察した。 その点を踏まえ、「まずはその点では、大きな山をひとつ乗り越えたと言える」と評価。それでも「社員のオンラインカジノの逮捕に関連して、コンプライアンスの徹底などには信頼性が薄く、今後の内部統制の、強化対応の適否によっては、今回フジテレビ側についた株主からも見放される可能性も危惧される」とも指摘した。 その上で「今回の株主総会の一見“勝利”と見える結果は、いわばガラス張りのもろさで、今後の再生活動を着実に実行し、その評価を含めて公表するなど、信頼性、透明性を維持継続することが今回の勝利を確実なものとすることができると考える」と提言。「その意味において、全体評価として点数としては60点」と厳しめの点数を付けた。 この日の総会では、冒頭で金光社長が謝罪。株主からの質問は無制限で、開催時間は約4時間30分にも及んだ。この点に白井氏は「総会の進行において冒頭謝罪は、この種の進行としては当然に行うべき」だとした上で、「質問制限をしないで4時間半で終了できたということは、総会の事前根回しや、現場のコントロールがうまくできていたという証拠だと思われる」と、こちらにも一定の評価を与えた。