フジテレビの不祥事が続く中、親会社のフジ・メディア・ホールディングスの株主総会が6月25日、東京・江東区で開かれました。 強い雨が降る中、株主総会の会場となった有明アリーナには株主が続々と入っていきました。総会に臨む株主は「刷新しかないですよ。新しくしていかないともう業界が成り立っていけない」「時代に対応した構造変化をしていかないと立ち遅れると思う。ガバナンスがどう変わるのか期待している」などと話していました。 そして午前10時から始まった株主総会では冒頭、金光修社長が「子会社のフジテレビにおける一連の事案で、皆さまにご迷惑とご心配をおかけしたことを心よりおわびします」と謝罪しました。これに対し「誠意が伝わらない」とやじが飛ぶ一幕もありました。 株主総会では元タレントの中居正広氏による性暴力への不適切な対応から生じた経営の混乱を立て直すための新たな体制案が諮られ、フジ・メディア・ホールディングスの社長に昇格予定の清水賢治専務ら、合わせて11人が取締役に就く会社側が提案した体制案が可決されました。一方で、対立する大株主のアメリカの投資ファンドが出した役員案は否決されました。 出席した株主によりますと、総会は穏やかな雰囲気で行われ、株主の質問に対しても会社側が毅然(きぜん)とした態度で答えていたということです。また、フジテレビの社員がオンラインカジノによる賭博の疑いで逮捕・書類送検された件については、再発防止を徹底していくと説明があったということです。 およそ4時間半に及んだ株主総会に出席した株主からは「清水さんが残ったことはよかった」「もうちょっと新しい血が入ってきたらいいと期待していたので、少し残念」「すでに赤字が出ているので、すぐに黒字化してもらいたい。既存のコンテンツをぜひすぐに生かしてほしい」など、さまざまな声が聞かれました。 <会社提案の新体制へ 信頼回復なるか> 例年フジテレビ本社で行われる株主総会は、今年は多くの出席者が見込まれたことから会場を変更し、異例の規模で行われました。出席者は去年=2024年は162人でしたが、今回は3000人を超える株主が出席しました。 清水賢治専務は「企業風土やガバナンスの改革を確実に遂行し、人権尊重を経営の中心に置く」とあいさつし、その後、新体制への採決が行われました。 その結果、混乱した経営を立て直す体制として、社長に昇格予定の清水専務をはじめ、ファミリーマート前社長の沢田貴司氏ら会社側が提案していた11人の取締役が決まりました。清水専務を除く10人が新任で、社外取締役は6人と半数以上になり、女性取締役も5人となりました。清水専務は「新しい人事は日枝氏の影響力がないと断言できる」と強調しています。一方で、アメリカの投資ファンドが「オールスター」と称した、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人が名を連ねた案も諮られましたが否決された形です。 総会終了後、TOKYO MXが出席した株主らに取材したところ、新体制については「新しい血が欲しかった」「妥当だと思う。清水さんが社長でいい」「清水社長は信頼しているが、経営面では不安がある」などさまざまな意見が聞かれました。 立て直しに必要な「CM再開」について、フジテレビは3月末時点で7割弱のスポンサーがCM出稿再開の判断を保留していると報告していました。スポンサー離れの影響もあり、フジ・メディア・ホールディングスの2025年3月期連結決算は純損益が201億円の赤字です。前期の370億円の黒字からの転落で、1997年の上場以来初の赤字となっています。 フジテレビが4月に発表し、この日も清水専務が「着実に進めていく」とした組織の再生・改革に向けた具体策では「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却に向け、人権・コンプライアンス意識の向上などに関わる4項目と、ガバナンスや組織改革に関わる4項目の、合わせて8項目からなり、グループとして抜本的な改革に取り組んでいくとしています。