別府ひき逃げ 全国各地でビラ配布 「1日でも早い発見、検挙に」

大分県別府市で男子大学生ら2人が死傷したひき逃げ殺人事件から3年となった29日、殺人容疑などで重要指名手配されている八田與一(よいち)容疑者(28)=大分県日出町=について、県警は全国の主要都市で情報提供を呼びかけるビラを配布した。 県警によると、ビラはこれまでも県内の他、東京や大阪、福岡でも配布してきたが、今回は初めて北海道、愛知、沖縄にも対象を拡大。人が多く集まる駅や空港、ショッピングセンターを中心に全国37カ所で、約150人体制で約2万枚を配った。 別府市のJR別府駅前では午前10時ごろから、警察官やボランティアらが行き交う人々に「情報提供をお願いします」と呼びかけた。事件現場の交差点には、この日も花が供えられていた。別府署刑事課の藤本努課長は「1日でも早い発見、検挙に努めたい」と話した。 今月26日時点で、事件に関する情報提供は1万43件に上った。このうち、八田容疑者に似た人物の目撃情報などの情報提供は9469件。大分県外の目撃情報は関東が3566件と最多で、九州1256件、近畿1228件―となっている。 事件は22年6月29日午後7時45分ごろ、別府市の県道交差点で発生。信号待ちしていた2台のバイクに八田容疑者の運転する軽乗用車が追突し、バイクに乗っていた当時19歳の大学生が死亡。友人の男性(23)も軽傷を負った。 捜査関係者によると、事件現場には八田容疑者が運転していた軽自動車のものとみられるブレーキ痕はなく、防犯カメラの映像や車両が大破していたことなどから、制限速度(時速40キロ)を大きく超えた状態で追突した可能性が高いとみられる。こういった状況から、県警は22年7月に八田容疑者を道交法違反(ひき逃げ)の疑いで指名手配するとともに、殺人容疑などの適用も視野に捜査を進めた。 警察庁は23年9月、道交法違反の容疑者としては初めて重要指名手配に指定。遺族らも時効のない殺人事件としての捜査を求め、殺人と殺人未遂の両容疑で県警に告訴状を提出して受理されていた。 県警は状況を再現した走行実験や軽自動車の計器の測定など物証を積み上げ、八田容疑者が殺意を持って故意に被害者らに追突したと判断。今月2日に殺人と殺人未遂容疑でも逮捕状を取得した。【岡田愛梨】

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