座間9人殺害・白石隆浩死刑囚が面会した記者に語っていた「完全犯罪が崩れ去った瞬間」

2017年に神奈川県座間市のアパートで9人を殺害し、強盗・強制性交殺人罪などで死刑判決が確定していた白石隆浩死刑囚(34)の刑が6月27日に執行された。 * * * 白石死刑囚は2017年10月に逮捕されてから、警視庁高雄署や立川拘置所などに長期間、勾留された。記者はその間、何度も白石死刑囚と面会し、話を聞いていた。 「完全犯罪だと自信を持っていた。だが、こうやって逮捕されたことが悔しい」 白石死刑囚は、面会室でそうつぶやいた。声を荒げるでもなく、終始、淡々と語る姿は、普通に町を歩いていればどこにでもいる若者のようだった。 ■「スカウトで100人は風俗に送り込んだ」 白石死刑囚の犯行は17年8月から10月の2カ月間に、自宅のアパートで15歳から26歳までの女性8人と20歳の男性1人の計9人をロープで首を絞めて殺害し、現金を奪い、遺体を切断したという猟奇的なものだった。切断した遺体は、一部をゴミとして捨てたが、多くは自宅で保管していた。女性には性的暴行を加えていたこともわかっている。 白石死刑囚が被害者を誘い出したのはSNS。ツイッター(現X)で「首吊り士」などのハンドルネームを使い、自殺願望を思わせる投稿をしている女性にアプローチして、「一緒に自殺しよう」などと自宅に誘い入れ、犯行に及んでいた。被害者の男性1人は被害者女性の知り合いで、口止めのために殺害された。 白石死刑囚は高校卒業後、仕事を転々とし、事件を起こす前には女性をスカウトして風俗店に紹介する仕事をしていた。だが、女性が売春することを知りながら風俗店に紹介したとして、17年2月に茨城県警に職業安定法違反で逮捕された。 スカウトの仕事での逮捕について白石死刑囚は、 「逮捕容疑は数件でしたが、けっこう腕があったので、100人は風俗に送り込んだ」 と豪語した。 風俗のスカウトが“天職”と考えていたという白石死刑囚だったが、17年5月に執行猶予つきの有罪判決が出て、スカウトは続けられなくなった。だが、次に思い浮かぶ仕事がなかったという。生活費にも困るようになった白石死刑囚は「完全犯罪」をしようという考えに突き抜けてしまう。

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