尹前大統領「警察、銃打てる実力ない…警護官たちの銃を見たら恐れおののくだろう」

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の2回目の拘束令状審査が9日、ソウル中央地裁で開かれる。内乱事件を捜査するチョ・ウンソク特別検察官(特検)チームは、尹前大統領の拘束令状を請求し、逮捕状の執行阻止と盗聴防止機能付電話(秘話フォン)情報の削除指示の疑いなどについて詳しく記述した。新たな犯罪容疑と情況が明らかになった中、特検チームと尹前大統領は拘束の必要性をめぐり攻防を繰り広げるものとみられる。 7日、ハンギョレ取材の結果、逮捕令状執行阻止の疑い(特殊公務執行妨害)が持たれている尹前大統領は、警察非常戒厳特別捜査団が昨年12月8日、キム・ヨンヒョン前国防部長官公館を家宅捜索する時から「公館街(大統領官邸や国防長官公館などが集まっている地域)を徹底的に守ること」を指示していたことが分かった。 ■「お前、(キム・ソンフン)処長に私が言ったことを伝えなかったのか」 当時、パク・チョンジュン警護処長がキム前長官公館に対する家宅捜索のため訪れた警察官1人の進入を許可したことを聞いた尹前大統領は、キム・ソンフン次長に「絶対入れるなと何度も言ったのに」 「お前、処長に私の話を伝えなかったのか」と叱責したという。この時から公館街の警備が強化され、1次逮捕令状の執行阻止につながった。 尹前大統領は今年1月3日午前、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の検事と警察が1正門を開けて入ってくると、パク処長に電話をかけ、「鉄門がなぜそんなに簡単に開くのか」、「公捜処の検事が2正門まで上がってくるのは、いかがなものかと思う」と語るなど、逮捕状の執行状況をリアルタイムで報告を受け、阻止するよう指示したことが分かった。このため、警護処の幹部たちと警護官、55警備団と33軍事警察警護隊の将兵たちは、公捜処の検事たちの官邸進入を体で阻止した。 1回目の逮捕状執行が失敗に終わった昨年1月11日、尹前大統領はキム次長、イ・グァンウ警護本部長ら警護処指揮部とともに昼食を共にした席で、「2回目の逮捕状執行のために(警察)特攻隊と機動隊が入ってくるというが、あいつらには銃を撃てる実力がない。射撃は警護官の方がずっとうまい」「警察はお前たちが銃を持っているのを見るだけで、恐れおののくだろう。銃を持っていることを見せてやれ」と指示したという。 尹前大統領の指示は実際に警護官の「威力警護」(外部に銃器がよく見えるように携帯した状態で、巡察業務を遂行し威力を見せる方式)につながった。1月7日から13日まで戦術服と防弾ヘルメットを着用した警護処警護官が小銃を所持し、大統領官邸区域を午前・午後に巡察する姿をわざと見せたのだ。 ■秘話フォンの削除をみずから指示…「そのままにしておいていいのか」 尹前大統領は、非常戒厳に参加した軍司令官の秘話フォンにおける情報の削除も自ら指示したことが、調査の結果分かった。昨年12月7日、キム次長に電話して「捜査を受けている3人の端末をそままにしておいて良いのか」「秘話フォンが誰かの手に入って簡単に見ることができれば、秘話フォンとはいえない」「早く措置しろ」と指示した。 尹前大統領が非常戒厳解除当日の昨年12月4日、ハ・テウォン海外広報秘書官(外信報道官)に「大統領として憲政破壊勢力から自由民主主義憲法秩序を守るためのアクションだったが、合憲的枠組みの中で行動を取った」という虚偽事実を海外メディアに伝えるようにしたのは、職権乱用容疑として拘束令状請求書に含まれた。 特検チームは、尹前大統領の容疑とこれまでの捜査機関の調査過程で見せた態度などを総合して、拘束捜査の必要性を強調している。特検チームは拘束令状請求書で「国内外的に大きな混乱を招いたにもかかわらず、反省するどころか犯行を否定し、正当な理由なしに捜査機関の出頭要求に応じず、令状の執行まで妨害するなど、国家の刑事司法システムを全面否定」したとしたうえで、「今後も捜査および裁判に誠実に臨むと期待できず、全面否定しボイコットするつもりで進行中の捜査と裁判を避けて逃げる恐れが非常に大きい」と述べた。 尹前大統領が今後、偽証や証拠隠滅、犯人逃避教唆、公務執行妨害の犯行に再び及ぶ可能性が高いということだ。また「国論が分裂している現状況を利用して支持者に過激な行動を扇動する可能性を排除できない」と付け加えた。 これに対し、尹前大統領弁護団は、「隠滅する証拠もなく、関係者らは本人の経験を供述している」とし、「(尹前大統領は)警護処が守っている。逃げたりする恐れもない。 再犯について特検がどのような再犯の恐れを言っているのか、納得ができない」と反論した。 キム・ジウン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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