作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は小学校の教師が女子児童を盗撮、グループで共有していた件について。 * * * 文部科学省の調査によれば、2023年度に性加害で懲戒処分や訓告を受けた公立学校の教員は320人で過去最多だった。つまりは、性加害する教師が“増えている”。 小学校の男性教師が女子児童を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループで共有していたことが発覚した。グループには小中学校の教師10人近くが入っていたという。教師による性加害報道を「またか」と感じてしまう現実があるけれど、それでも今回は、最悪の想定を超える酷さでさすがに言葉を失う。「教師が連帯して行う児童への性加害」を、どう捉えればよいのか。私はこの原稿をもう3日もかけては書いたり、消したり、書いたり、消したり……している。あまりのことにパニックになっているのだと思う。 2019年に性被害に抗議するフラワーデモを呼びかけて以来、たくさんの性被害者の声を聞いてきた。性被害者から見える性加害者には、驚くほど共通点がある。それは「支配欲むき出しで、後先考えられないで、未熟で、乱暴で、もてない男で……」といったような性加害者のイメージとは程遠いものだった。多くの場合、性加害者は社会的信頼もある成人男性で、妻子がいることも多く、性加害するための努力も惜しまない忍耐力がある。”ターゲット”を入念に選び、綿密に計画を練り、慎重に実行する。性暴力という言葉から暴行のイメージを持つ人は多いが、多くの性犯罪は暴行を伴わず、むしろ、計画されただましやふいうち、の中で行われる。 今回逮捕された男性教師らも、児童や保護者からも信頼されていたという。なかには「着替えする時に先生は教室に残りパソコンをいじっていた」という声もあったが、そういう“小さな違和感”を打ち消せるくらいに、「良き教師」として振る舞うことで、長い間にわたって犯行を重ね続けてこられたのだろう。 それにしてもなぜ、教師の性加害がこれほど増えているのか。