先輩に誘われ大麻に手を出し逮捕…産んだ子どもは乳児院に 10代少女の後悔

大麻を「麻薬」と位置付け、他の規制薬物と同様に使用罪の適用対象とする改正麻薬取締法が昨年12月に施行されてから半年。福岡県警が今年1月から5月末までに大麻の所持や使用の疑いで摘発した人の8割超が20代以下と若年化は顕著だ。改正法施行以前に大麻所持の疑いで逮捕された10代の少女は西日本新聞の取材に応じ、安易に大麻に手を出し、狂った人生と後悔、胸が押しつぶされそうな不安を吐露した。 鹿児島市出身。物心が付いたときには父親の姿はなく、母親も小学校低学年の時に「育てきれない」と言って出て行った。祖父母に育てられながら通信制の高校に進んだが、勉強について行けず欠席続きに。自分を妹のようにかわいがってくれた先輩に誘われて、軽い気持ちで大麻を吸った。 ふとしたことを面白く感じたり、ふわふわと体が浮くような感覚を覚えたりすることが心地よくなった。購入資金には援助交際を装って盗んだ金を充てた。一昨年、大麻を持っていたことが見つかり、鹿児島県警に逮捕された。 福岡市の女子少年院「筑紫少女苑」に入所した。面会は祖母だけで、祖父は一度も来てくれない。怖くて理由は聞けず、「ごめんなさい」と書いた手紙に返信はない。入所後に出産した子どもは乳児院に預けざるを得なかった。 月に二度のテレビ通話での子どもとの面会。画面越しの我が子が愛おしく、「もう捕まりたくない」。ただ、その言葉と裏腹に、ある思いもよぎる。 少女苑で読んだ本には「大麻は簡単にはやめられない」と書かれていた。いまも、仲間と大麻を使い遊んでいたころを思い出す。ストレスや誘惑があればまた使ってしまうのではないか-。 「悪いと認識せず使っていた大麻のせいで人生が一変した。あのときもうちょっと頑張っていたら、こんな寂しさを感じなくてよかったのかなと思う」。少女の涙が、日常に潜む大麻の恐ろしさを物語っていた。 (小笠原麻結)

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