尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が10日、拘束された。内乱首謀の容疑で拘束され裁判所の拘束取り消し決定で3月8日に釈放されて以来、124日後の再拘束となる。尹前大統領の身柄確保に成功したチョ・ウンソク特別検察官(特検)チームは、尹前大統領の外患容疑などについてさらに捜査を進められるようになった。 ソウル中央地裁のナム・セジン令状専担部長判事は10日午前2時15分頃、「証拠隠滅の恐れがある」として尹前大統領の拘束令状を発付した。前日の午後9時1分頃に拘束令状審査を終え、京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所で待機していた尹前大統領は直ちに収監された。 前日午後2時22分から始まった令状実質審査で、特検チームは尹前大統領犯行の重大性はもちろん、拘束の必要性を強調することに注力した。 特検チームは6日に裁判所に提出した66ページに及ぶ拘束令状請求書の中で、16ページを「拘束が必要な理由」の説明に割くなど、拘束捜査が必ず必要だという立場を強調。特検チームは、尹前大統領が捜査・裁判を全面的に不信し、ボイコットする考えで捜査・裁判を避けて逃げる恐れが非常に高く、△虚偽公文書作成の犯行、虚偽公報の犯行などはそれ自体が証拠隠滅行為であり、△事件関係者の陳述の変化などを考慮すると、被疑者に有利に証言するよう懐柔し圧迫する可能性が非常に高いと主張した。この日の令状審査にはパク・オクス特検補とキム・ジョングク、チョ・ジェチョル部長検事、検事7人が参加し、178ページのパワーポイント(PPT)資料を使って拘束捜査の必要性を強調した。 これに対抗し、尹前大統領の弁護団は、特検チームが尹前大統領の犯罪として挙げた国務会議の審議妨害▽虚偽公文書の作成▽外信報道官に対する虚偽の公報の指示などは、すでに起訴され裁判を受けている内乱容疑と関連した内容であり、再拘束する事由に当たらないと主張。尹前大統領が警護処に逮捕を指示したという疑惑についても、「具体的な状況で警護の方法は警護処の判断と決定によって行われるものであり、大統領が特定の状況に対して警護の方法を指示するわけではない」としたうえで、「尹前大統領が具体的な指示をしたという事実は全くない」と主張した。令状実質審査に出席した尹前大統領は、審査の最後に20分間、拘束令状請求の不当さを強調した。だが、5時間29分間の拘束尋問を行ったナム部長判事は、特検チームに軍配を上げた。特検チームが尹前大統領の身柄を確保したことで、実体が明らかになっていなかった外患容疑の捜査に弾みがつくものとみられる。 カン・ジェグ記者 (お問い合わせ [email protected] )