3歳だった長男の手足を粘着テープで縛ったり、適切な医療を受けさせずに一時重体にさせたりしたとして、逮捕と保護責任者遺棄致傷の罪に問われた祖父の熊谷和弘被告(52)と母親の瞳被告(27)の判決公判が14日、広島地裁であった。桜井真理子裁判長は、和弘被告に懲役3年6カ月(求刑懲役5年)、瞳被告に懲役3年(同)の実刑判決を言い渡した。 判決によると、2人は広島市の自宅で昨年9月、約5時間半にわたり長男の手足に粘着テープを巻き付けるなどした。また今年1月までの約3カ月間、長男に十分な食事を与えず、一時心肺停止に陥らせた。 判決は、和弘被告が主導したと認定。虐待が疑われるなどと考えて受診を先送りしたことは「非常に悪質で危険性が高い行為」と指摘。「言うことをきかせたいと思ったとしても、知人や公的機関に相談するなどして適切に対応すべきだった」とし、執行猶予を求めた弁護側の主張を退けた。 検察側は公判で、瞳被告と長男を含む未就学児3人が昨春に和弘被告宅に転居し、食事中に立つなどした長男への罰として、和弘被告が食事を与えないようになったと主張していた。 和弘被告は公判での弁護側の質問に対し、「(瞳被告が)生活保護を申請しようとしたが、夫との離婚手続き中だったため受給できず、行政への相談は無駄だと思うようになった」と述べていた。 事件を受け、広島市は対応に問題がなかったか有識者による検証を始めた。市は母子4人が九州から転居してきた際、子どもの養育状況を確認する必要はないとして、地元の児童委員に母子4人の情報を伝えていなかったという。(相川智)