【AFP=時事】サマーキャンプの主催者は、仏パリ行きの便からユダヤ系フランス人の子どもたちが降機させられたとして、スペインの航空会社ブエリング航空を提訴する意向を示した。弁護士が24日、明らかにした。 ブエリング航空は、スペイン・バレンシア市で「迷惑行為」を理由に子どもたちに降機を求めたと説明しているが、保護者らは「反ユダヤ主義的行為」だと非難している。 サマーキャンプ主催者「クラブ・キネレット」の代理人を務めるジュリー・ジェイコブ弁護士は、「身体的・精神的暴力、そして宗教に基づく差別で提訴するつもりだ」と述べ、降機させられた子どもの大半は15歳未満だったと付け加えた。 ブエリング航空は、一部の乗客が「極めて迷惑な行為に及び、非常に対立的な態度を取り、パリ・オルリー空港行きの便の安全な運行を危険にさらした」「乗務員の決定が、関与した乗客の宗教に関連しているといういかなる主張も断固として否定する。この決定は、すべての乗客の安全を確保するためだけに行われた」と説明。 「この団体は救急用具の取り扱いを誤り、義務付けられた安全に関するデモンストレーションを積極的に妨害し、客室乗務員の指示を繰り返し無視した」と付け加えた。 乗務員は治安警察に介入を要請。治安警察は「他の乗客の安全を優先するため、問題の団体を降ろすことを決めた」という。 ブエリング航空は「ターミナルに到着後も、この団体は攻撃的な行動を続けた。一部は暴力的な態度さえ示した」ため、1人が逮捕されたと述べた。 だが、キネレットはブエリング航空の主張を「断固として」否定している。 ■乗客逮捕 降機させられた子どもの一人、サムソンさん(17)は、AFPの電話取材に対し、団体は機内で落ち着いて席に着いていたと説明。 「友達の1人が、まだホリデーキャンプ気分が少し残っていたのか、ヘブライ語で叫んだ」「たぶん大きな声を出しすぎたんだろう」と述べた。 乗務員に再びこのようなことがあれば警察に通報すると警告されたので、「すぐに騒ぐのをやめた」とサムソンさんは語った。 治安警察は、未成年者44人と成人8人を降機させたと発表。逮捕された1人については、「降機して警官の指示に従うのを拒否した」ために拘束されたが、後に釈放されたと説明。 「警官は、降機させた人々の宗教を、作戦中のいかなる時点でも把握していなかった」と続けた。 グループの17歳少年の母親は、匿名を条件にAFPの取材に応じ、2週間のサマーキャンプから帰るところだったと語った。 12歳や13歳の子どもたちにも影響を与えたこの出来事を「正当化できる理由が見当たらない」として、「子どもたちはまるで犬のように降ろされた」と続けた。 別の子どもの母親は、イスラエルのテレビ局「i24ニュース」に対し、これは「何もしていない幼い子どもたちに対する反ユダヤ主義的行為だ」と語り、警察の行為は残忍かつ不当で、「明らかに偏見に満ちている」と続けた。【翻訳編集】 AFPBB News