鈴木宗男氏「執行部の責任問う前に裏金議員のけじめ」自民党内「石破おろし」の動きをいさめる

20日に投開票された参院選比例代表に立候補し、23年ぶりに復党した自民党で議席を得た鈴木宗男氏(77)は25日、東京都内で取材に応じ、参院選惨敗に伴い党内で噴出している党総裁の石破茂首相に対する「石破おろし」の動きを、いさめた。 「党執行部の責任を問う前に、裏金問題のけじめをしっかりつけないと、自民党の再生はないと思っている」と述べ、自民党派閥パーティー裏金事件への関与が取りざたされた議員が、まずきちんと責任を取るべきとの認識を示した。 自民党ではこの日、青年局(中曽根康隆局長)が森山裕幹事長に対し、執行部の責任を問う緊急申し入れを行った。自ら責任を取るよう、事実上の首相退陣を求めた内容の文書を手渡した。また、党が28日に開催を予定する議決権のない両院議員懇談会を、党の正式な意思決定機関でもある両院議員総会に格上げして実施することに向けた、署名活動も行われている。 宗男氏は、党内のこうした動きに関して問われ「それなりに経験をしてきた政治家として思うのは、まずは冷静に落ち着くことだと思う。党は選挙の総括、検証をするわけですから、そこでしっかり議論をする」と主張。選挙戦を振り返り「行く先々で言われたことは『裏金問題のけじめが甘い』『だれも国会議員は責任を取っていない』ということだった」と述べ、「党執行部の責任を問う前に、裏金問題のけじめをしっかりつけないと自民党の再生はないと思っている。1000万円も2000万円も3000万円も不記載がある(議員がいる)中で、何の罰も受けていないということに、国民は怒っていた」と訴えた。 「党内で、特に裏金をもらった議員が何もなかったことのように振る舞い、執行部批判をしている。こういうのを許したら、逆に党がもたない」とも述べた。 現状では自民党分裂につながりかねないとの声もある、と指摘されると、宗男氏は「もともと自民党はいろんな意見がある幅のある政党だった」と述べ、青年局の動きにも「これはこれで当然の主張だと思う」と理解を示した。一方で「28日に両院議員懇談会があるし、数が集まれば両院議員総会が開ける。そこが(最終的な)決定機関ではない。いろんな意見を聞いてしっかり意思疎通をはかってやったほうが、将来の自民党のためになる」と持論を口にした。 その上で「(秘書時代を合わせて)永田町に56年いる者として、自民党を見てきた者としても、ロッキードやリクルート、消費税増税の時もさまざま大変でしたが、自民党はちゃんと、まとまってきた。当時の自民党の国会議員には、懐の深さがあった。ただ批判をするのではなく、一定の信義を踏まえて連動していた。しかし今はなんとなく強い声を、徒党を組んで発信すればそれが正義になる、みたいな流れがある。それいいことではない」と指摘。「こういうときこそ歯を食いしばり、自民党を立て直すにはどうしたらいいんだという議論が大事。ただ権力闘争的な流れをつくるのは、決していいことではない。冷静になることだ。いくばくかの政治経験の長いものとしてはそう考えている」と訴えた。 また「昨年10月の衆院選、今年の参院選は、私は石破総理や執行部の責任ではないと思っている。裏金問題を引き起こした派閥、届け出をしなかった本人方の責任と思っている」と、あらためて強調。「私自身、25年前に(北方四島支援をめぐる疑惑で)バッシングを受けた。党に迷惑をかけてはいかんと思い、自ら離党した。逮捕されたのはその3カ月後だ」と述べ「1000万円も2000万円も3000万円も(収支報告書に)届けをしていなかったのは、間違いなく脱税行為。もっと重く受け止めるべきではなかったか。それを何事もなかったかのように、当事者、特に幹部が好き勝手なことをいうのは、いかがなものかと思う」とも述べた。 28日の両院議員懇談会では、こうした自身の立ち位置を説明する考えを示し、「最終的に、一致結束の挙党態勢をつくるのがいちばん。私は私の立場で汗をかきたい」と述べた。 衆参で多数を握ることになった野党に対しても「不信任決議案を出してもいい」と覚悟を迫った。「本来、参院選は政権選択選挙ではないが、去年の衆院選で自公政権で過半数を割り、たまたま今回、参院での過半数が大きな話題となった。野党は野党で堂々と不信任を出し、石破総理は解散して、国民の信を問うた方がいい。それが民主主義の常道と思う。民主主義で大事なのは手続きと中身だ。粛々とやればいいと思う」と語った。

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