「はらわたが煮えくり返る」 初めて買った愛車、12年間の思い出も奪われ怒り…「後悔」と自責の念も

人生の思い出を刻んできた初めてのマイカーが、一夜にして姿を消した。静岡・富士市で、日産シルビアが盗まれる自動車盗難事件が発生した。12年前に購入して相棒のように乗ってきた特別な1台であり、心に負った傷も大きい。深刻化する車両盗難。被害者オーナーは「はらわたが煮えくり返る思い」と怒りに震えている。 事件は富士駅周辺の集合住宅の駐車場で、7月18日午後8時ごろから、翌19日午前11時ごろの間に起きた。被害車両の白のシルビアは2000年式のS15型で、「スペックR、6MT、ほぼ純正に近い内外装」。約12年前に中古で約110万円で購入したものだという。 思い入れの深いマイカー。被害者の30代男性会社員は「自分が初めて買って乗ることになる車ということで、一度は乗ってみたいと思っていたスポーティーカーとして、本車を選択しました。MT車であり、内外装ともにほぼノーマルであったのも決め手でした。購入後は足回りを一新し、とにかくいろんなところを走り回って楽しんでいて、時にはぶつけたりしたこともありましたが、どれもいい思い出です」と回想。「古いのですぐにダメになるかなと思っていましたが、なんだかんだありながらもここまで一緒にきた相棒であり、これからも一緒だろうと思っていたので、このような形で別れが訪れたことは非常に悲しいと思うと同時に、激しく憤りを感じています」と、無念の思いを語る。 シルビアは車検を終えていたが、「諸事情でしばらく運転しない状況になったため、バッテリーを外し施錠した状態で駐車していました。駐車場の中では通りに近い位置に停車させていて、施錠のみで特別なセキュリティーは未搭載でした」。防犯カメラは設置されていなかった。 盗難発覚日の昼頃、被害者オーナーの妻が出かける用事で外に出た際に、シルビアがないことに気付き、通報。「前日の夜11時頃に最後に確認していたため、それ以降から朝方の寝ている間に盗難にあったと思われます。騒音等には気が付かなかったです」という。 貴重品等は載せていなかったが、長年メンテナンスを施してきた愛車だ。本体価格にこれまでの整備代金や改造費等を含めると、「300万程度になるのではと考えています」。何より、愛車が持ち去られた喪失感ははかり知れない。 人生の楽しみを奪う卑劣な犯行。「盗まれたこと自体もそうですが、そんなやつらがしゃあしゃあと生きている思うと、はらわたが煮えくり返る思いでいっぱいです」と怒り心頭。 一方で、警察の捜査を待つ現状に複雑な思いを抱えている。それに、どうしても自分を責めてしまい、精神的なショックは大きい。「被害者の私はとにかく非力でした。近隣の防犯カメラ映像を見ることはできず、警察から進捗を聞くこともかなわない。できることはやってはみましたが、知れてるのかなと思っています。犯人は個人なのか組織的なのかは不明ですが、盗むやつが悪い、これは間違いないです。しかし、現実に盗難は増えていると言います。理由はどうあれ、増えていると言うことは、もはや個々人で守る他に対策がないと言えてしまうのだろうと思います。被害者として今思うことがあるとすれば、セキュリティーを怠ったことをただただ後悔するのみであり、いろんな気持ちの整理にはどれだけかかるのか……」。苦しい胸中を吐露する。 オーナー自身はSNSをやっていないが、妻のXアカウント「しお(盗難されたシルビアを探してます) @krahs_22」で、盗難被害を周知しており、「今回SNSを通じ多くの方に拡散していただき、励ましの声や目撃情報をいただきました皆様には本当に、心から感謝しています」。ささいなことが犯人逮捕につながる可能性もある。引き続き情報提供を呼びかけている。

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