ドイツの動物園、ヒヒ12頭射殺 個体数増で飼育環境「過密」理由に 抗議活動の7人逮捕

ドイツ南部ニュルンベルクの動物園は29日、飼育しているヒヒ12匹を殺処分したと発表した。個体数増加により、飼育スペース確保が困難になったためだが、殺処分当日、動物園側が急遽休園措置を取ったことから反対派は敷地内に不法侵入。抗議活動を行い7人の逮捕者が出た。欧米メディアが報じた。 殺処分を行ったのは「ティアガルテン・ニュルンベルク」。英BBCによると、同園は昨年2月、飼育するアフリカ西部原産のギニアヒヒの飼育環境が過密となったことから殺処分を発表した。同園の説明では2009年に完成したヒヒの施設で飼育可能なのは25頭だが、40頭を超え、ヒヒ同士の衝突が増えていた。 同園は問題解決に向け、11年以降フランスや中国の動物園に移送し避妊手術も行ってきたが、頭数は年々増加。昨年の方針発表後、両国やスペインの動物園と交渉も頓挫したことから、妊娠中の雌などを除き12頭を射殺した。 殺処分への抗議者は連日活動を続けていたが、殺処分当日になって同園は「運営上の理由」として急遽閉園。怒った抗議者はフェンスを乗り越え、敷地内に侵入すると、複数人が手に接着剤を塗って地面に張り付けるなどしたという。 欧州では14年にデンマークで「マリウス」という名の2歳のキリンが繁殖プログラムの対象と遺伝子が近いことから殺処分に。マリウスは皮をはがして解体され、ライオンのエサになったが、動物園側がその様子をオンラインで生中継し、問題になった。今回のヒヒも研究用サンプル採取後に肉食動物のエサになった。 ティアガルテン・ニュルンベルクのダグ・エンケ園長は「何年も検討した結果で正当な最終手段」としているが、動物愛護団体は「無責任で持続不可能な繁殖を行ったのが原因」とし、刑事告訴する方針だという。

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