滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年にあった患者の死亡をめぐり、殺人罪で服役後、裁判をやり直す再審で無罪が確定した元看護助手の西山美香さん(45)に、滋賀県警の池内久晃本部長が直接謝罪することがわかった。弁護団によると、捜査当局幹部が西山さんに会って謝罪するのは逮捕後初めてという。 弁護団と県警によると、滋賀県彦根市内で7日午前、池内本部長が西山さんと両親、井戸謙一弁護団長らを訪問する。 西山さんは04年、県警の取り調べに対し、患者の呼吸器を外したと「自白」したとして逮捕された。07年に殺人罪での懲役12年の判決が確定。だが満期出所後に再審が決まり、大津地裁は20年、患者は病死の可能性があり、「自白」も誘導されたものなどとして無罪判決を言い渡し、確定した。国と県(県警)に損害賠償を求めた訴訟では、大津地裁が先月17日、男性警察官が虚偽供述を強く誘導し、患者が自然死した可能性を示す証拠を検察に提出しなかったことなど、県警の捜査の違法性を認定していた。 地裁判決を受け、県側は同25日に控訴断念の方針を明らかにしていた。池内本部長はこの日の会見で「西山さんに大きなご心労やご負担をおかけしたことに対し、大変申し訳なく思う」と述べた。 西山さん側は県への控訴は見送る一方で、検察の捜査や判断に違法性はないとした地裁判決を不服とし、大阪高裁に控訴している。(真常法彦)