「公選法の年齢制限は違憲」岸田氏襲撃の被告側、控訴審で再び持論 裁判長問いかけ無視も

和歌山市で令和5年4月、岸田文雄前首相の演説会場に爆発物を投げ込んだとして、1審和歌山地裁で懲役10年の判決を受けた無職、木村隆二被告(26)の控訴審初公判が5日、大阪高裁で開かれた。控訴した弁護側は「公選法は被選挙権に年齢制限を設けており違憲」などとする被告の主張に基づき、1審判決の無効を訴えた。 被告は髪とひげを伸ばし、上下黒のスエット姿で出廷。弁護側席の前の長椅子に腰を下ろした。公判の冒頭、石川恭司裁判長から名前を確認されても、大量のノートや資料を机に並べる作業を続け、手元に目を落としたまま答えなかった。 被告は殺人未遂▽爆発物取締罰則違反▽火薬類取締法違反▽銃刀法違反▽公選法違反-の5つの罪で起訴され、1審で有罪判決を受けている。1審から交代した弁護人はこの日の法廷で、控訴理由を問われ「被告が罰条について検討した結果」と前置きした上で、5つの罪について「法律自体が違憲」と主張した。 被告は事件前、被選挙権の年齢制限などを巡り、現行の選挙制度が違憲だと主張して提訴していた。今回の1審の被告人質問では事件の動機について、こうした持論に「注目を集めたかった」と語っていた。弁護側の主張は被告の持論を踏まえたものとみられる。 弁護側はこの日の控訴審で、さらに被告人質問の実施を求めたが、石川裁判長が却下して結審。審理時間は10分足らずで、被告は立ち上がって裁判長を見つめ、不満そうに1度首をかしげてから退廷した。 判決は9月25日に言い渡される。

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