静岡市駿河区中島の中島浜公民館で2日夜、中島学区自治会連合会長の男性（78）が刃物で刺されて死亡した殺人事件で、静岡南署は5日、殺人と建造物侵入の疑いで同市駿河区中島、無職の男（54）を逮捕した。容疑者は男性を襲った後、自身の首を切り入院していた。捜査関係者によると、容疑者は調べに対し、容疑を一部否認しているという。同署が動機や刃物の入手経路などを慎重に調べている。 逮捕容疑は2日午後7時半ごろ、同公民館に侵入し、男性を刃物で刺して殺害した疑い。司法解剖の結果、男性の死因は背中など複数箇所を刺されたことによる失血死だった。 捜査関係者によると、容疑者は公民館に侵入し、刃物で刺した行為を認める一方、殺意については否認しているという。現場にはサバイバルナイフ様の刃物を含めて複数の刃物があり、そのうち1本が凶器として使われた可能性があるという。 同署によると、容疑者は、公民館2階で自治会の役員会中に侵入。会合出席者に取り押さえられた際、持っていた刃物で自らの首を切り、救急搬送された。けがが回復し、5日に退院したという。 複数の関係者によると、容疑者は男性と顔見知りの間柄で、自治会の会合途中に侵入し、後方にいた男性を狙った可能性がある。男性との間には庭木を巡るトラブルもあったという。 ■容疑者、物静か 近所付き合い薄く 静岡南署に殺人などの疑いで5日逮捕された男（54）＝静岡市駿河区中島＝は、複数の近隣住民によると、物静かで無口な人だったという。地域住民があいさつしても反応はほとんどなかったといい、事件当日に中島浜公民館で開かれていた会合に参加していた60代の男性は「近所付き合いは薄かったのではないか」と振り返る。 近所の別の男性は、容疑者の自宅へ出入りしている人の姿を見たことがないと語る。「親戚付き合いもうまくいっていなかったのではないか」と話す住民もいた。 一方、地域の農業従事者などで構成される「部農会」の役員を務めていたこともあり、用水路の清掃活動などには参加していた。口数は少ないものの、積極的に草取りや泥払いなどの作業を手伝う姿もあったという。近隣住民の多くは「とても殺人をする人とは思えない」と口をそろえた。