オランダのスーパーマーケット大手『Jumbo』の元CEOで、マックス・フェルスタッペンの個人スポンサーだったフリッツ・ファン・イエルトは、木曜日にマネーロンダリング、収賄、偽造の罪で懲役2年の判決を受けた。フローニンゲン裁判所の判決は、52歳の起業家であるファン・イエルトにとって劇的な転落を意味するが、同氏は控訴するものとみられている。 ファン・イエルトのトラブルは、2022年に始まった。ほぼオランダ国内でのみ事業を展開し、ベルギーに数店舗のスーパーマーケットを展開する『Jumbo』が、マネーロンダリング疑惑で揺れた年だ。裁判所は、彼が『Jumbo』のスポンサー予算を使ってモトクロスチームを含む個人事業に資金を注ぎ込む一方で、違法な商品やサービスを受け取っていたと結論付けた。主な受益者のひとりは、共同被告人のテオ・Eで、彼はその役割により懲役3年半の刑を言い渡された。 ■モータースポーツとのつながりと失墜 ファン・イエルトは役員室の外でも、国際的なモータースポーツ界で広く認知されていた。彼は、まずフォーミュラ・フォード、そしてFIA WEC世界耐久選手権、また、5回にわたるル・マン24時間レースへの参戦に至るまで、多彩なレーシングキャリアを持ち合わせている。レーシングチーム・ネーデルランドの旗の下でレースに参戦したファン・イエルトは、2021年に世界耐久選手権のPro-Amクラスで表彰台を獲得した。 フェルスタッペンのキャリア初期から主要なサポーターであった『Jumbo』は、数シーズンにわたりレッドブルのドライバーのヘルメットに大きく描かれていた。しかし、『Jumbo』を引き継いだ新CEOのトン・ファン・フェーンが年間2000万ユーロ(約34億4100万円)のスポンサー予算を削減したため、2023年末にこのパートナーシップは終了した。 2022年、オランダ当局はファン・イエルトの自宅と『Jumbo』の本社を捜索し、それぞれ17万6000ユーロ(約3030万円)と44万8000ユーロ(約7700万円)の説明のつかない現金を発見した。ファン・イエルトは直後に逮捕され、検察は彼を偽の請求書の作成、賄賂の受け取り、麻薬関連犯罪に関係する個人との関係の維持の罪で告発した。 残念ながら、この騒動でレーシングチーム・ネーデルランドは解散し、チームは活動を中止して資産をチームWRTに売却した。一方でファン・イエルトは、世間の目が厳しくなるなか、『Jumbo』のCEOを辞任した。 判決後も、ファン・イエルトは挑戦的な口調を保った。 「私の職業人生はまだ終わっていない」と、彼は記者団に語った。 「そうほのめかす人々もいるが、実際はその逆だ。おそらくこれは人生のリセットなのかもしれない。私は起業家だし、これからもそうあり続けるだろう」 彼は楽観的な見方をしているものの、今回の有罪判決は劇的な転落を記録するものとなっている。かつて名声を博し、実業家としてもスポーツ選手としても活躍した彼の二重のキャリアは、今やスキャンダルによって薄れてしまった。 [オートスポーツweb 2025年08月13日]