逃げ場失うアフガン難民 隣国から送還、母国で困窮・迫害 タリバン復権4年

【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが政権を奪取してから15日で4年。 隣国に逃れていた多くのアフガン人が現地での「不法移民」取り締まり強化を受け帰国を強いられている。帰国者がタリバンに危害を加えられるケースも報告されている。 「日に日に状況が悪化している。仕事はなく、女性への教育も行き届いていない」。イランから4人の子供と帰国したヘクマトゥラ・ワジリさん(40)は母国の惨状を嘆いた。 タリバンが復権した後の2022年、職を求めてイランに渡り、建設会社で働いていた。しかし、今年7月に子供と公園にいた時、正規の滞在許可証を持っていないとして現地警察に逮捕、強制送還された。 帰国後、職は見つかっていない。「夕食時には(翌日の)朝食や昼食の心配をしている。妻はまだイランにいるが、呼び戻すお金がない」と語った。 21年に崩壊した民主政権下で警察官をしていたマロフ・スルタニさん(37)はタリバンの迫害を恐れパキスタンに渡った。同国で約4年間、服の仕立業で生計を立てていたが、今年5月に「テロ対策」を名目とする在留資格の厳格化を受け帰国を余儀なくされた。「パキスタン政府はアフガンの劣悪な状況を知っているのになぜ追い出すのか」と怒りをあらわにした。 イラン、パキスタン両国からは23年以降、計約350万人のアフガン難民が強制送還を含め母国に戻ったとされる。イランは今年6月にイスラエルと軍事衝突した後、難民に「スパイ」の疑いをかけ国外追放する動きを加速させたと報じられている。 アフガンは世界最貧国の一つ。極端なイスラム法解釈に基づき、女性の通学を小学校までしか認めないタリバンによる人権抑圧を懸念し、各国は支援に二の足を踏んでいる。出戻る大量の難民を受け入れる経済・社会的な余裕はないのが実情だ。国連は7月、帰国した元政府職員や女性らがタリバンによって拷問や恣意(しい)的な拘束を受けるケースがあったとの報告書を公表した。

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