スペイン、猛暑が阻む20件の大規模山火事対応 政府は追加の部隊派遣

Guillermo Martinez Ana Cantero [ヴィジャルデボス(スペイン北西部) 17日 ロイター] – スペイン全土で発生している20件の大規模な山火事の鎮圧作業を猛暑が妨げており、政府は17日、消火活動を支援するため軍の緊急部隊からさらに兵士500人を派遣した。 スペイン北西部のガリシア地方は複数の火災がひとまとまりとなって巨大な火災に転じ、高速道路の閉鎖や鉄道運行停止を迫られた。 南欧地域は過去20年ぶりの深刻な山火事シーズンを迎えており、スペインは最も重大な被害を受けている国の一つ。 スペインはこの1週間だけで3人が火災のために命を落とし、11万5000ヘクタール以上が焼失した。一方、隣国ポルトガルも広範囲にわたる火災が発生している。 スペインの国家気象庁AEMETによると、気温は17日に一部地域で摂氏45度に達する見込みだという。 サンチェス首相は被害が深刻な地域の一つであるオウレンセで記者会見し「今後もまだある程度厳しい日が続くだろう。残念ながら、天候はわれわれの味方でない」と語った。 サンチェス氏は軍の増援を発表し、スペイン全土で展開されている部隊の総数が1900人に達した。 緊急サービス総局長のビルヒニア・バルコネス氏は、スペイン国営テレビで気温が19日から下がる見込みだと述べつつも「今日は極端な高温で火災のリスクも極めて高く、消火活動が非常に困難になっている」と語った。 <バケツで消火活動> ガリシア地方のヴィジャルデボス村は水ポンプを動かすための電力が止まったため、住民たちが絶望的な状況下でバケツを使って自力で水を運び消火活動をしている。 住民のバシリオ・ロドリゲスさんは16日、ロイターに「消火用の飛行機はあちこちから来るがここには来ない」と語り、別の住民、ロレア・パスクアル氏は「もう手に負えない。これ以上悪くなりようがない」と嘆いた。 内務省のデータによると、6月以降、27人が放火の疑いで逮捕され、92人が捜査対象となっている。 隣国ポルトガルは自然・森林保護研究所(ICNF)機関の暫定データによると、今年これまでに約15万5000ヘクタールの植生が焼失している。これは2006年から24年までの平均の3倍に相当し、そのうち約半分はわずかこの3日間で焼失した。 ポルトガル中部・北部は数千人の消防士が8件の大規模火災と悪戦苦闘しており、最大の火災は観光客に人気のある山岳地帯ピオダン近郊で発生した。 さらに北のトランコーゾは火災が8日間にわたり続いている。数キロ東で発生したこれよりも小規模な火災で、住民1人が15日に死亡。今シーズン初の死者となった。

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