ニセ警察官が「山梨県警まで来てください」と畳みかけ…振り込め詐欺、記者にかかってきた電話の一部始終

ニセ電話で指定した口座にカネを振り込ませるといった「特殊詐欺」が激増している。警察庁によると、今年上半期(1~6月)は昨年同期に比べて認知件数で約50%増、被害額は約160%増という急増ぶりだ。代表的なのが振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺などの総称)で、なかでも警察官をかたって電話をする「ニセ警察詐欺」が増えているという。この夏、記者のところにも、「ニセ警察官」から電話がかかってきた。 * * * 8月のある日、スマートフォンに着信があった。見慣れない「+88」という番号からはじまり、末尾が警察署などに多い「0110」。 この瞬間、ピンときた。振り込め詐欺の電話ではないか。 過去に振り込め詐欺で捕まった人物を10人以上取材したことがある。振り込め詐欺の電話にひっかかり、「LINE」に誘導されてカネをだましとられそうになったというニュースも見たばかりだ。 そこで、振り込め詐欺に騙されたフリをして手口を取材しようと、即座にICレコーダーを用意。電話に応答した。 「今西さんの携帯でよろしいですか?」 と聞かれたので、「はい」と答えると、 「警視庁捜査2課のイトウと申します。今お電話よろしいですか」 という。少し不安そうにふるまおうと、 「どういうお話でしょうか」 と聞くと、イトウは、 「山梨県警からの捜査協力を受けて、捜査をしている」 「山梨県警に来てもらえませんか」 と話す。そして、 「これからの会話内容は録音させていただきます」 と、丁寧だが、強く有無を言わせない口調だ。 自宅にいることを伝えると、イトウは、 「まわりに誰もいない静かな環境で」 と念を押し、こう話した。 「振り込め詐欺の疑いがあります」 どういうことか。 ■「住所は〇〇ですよね」 「楽天銀行のキャッシュカードをお持ちですよね」 楽天銀行で口座開設をしたことがないので、「持っていない」と言いつつ、 「誰かが勝手に作ったのかな」 と心配そうな声できいてみる。するとイトウは、 「今西さんの携帯電話は〇〇、住所は〇〇ですよね」 携帯電話番号は着信があったのでその通り。住所は以前に住んでいた場所で、番地はやや違っている。古いとはいえ、かなり正確な名簿が出回っていると思うとゾクッとした。会話も慎重にしなければならない。

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