7月の参院選を巡り、自民党公認候補への投票の見返りにパチンコ店運営会社「デルパラ」の社長らが従業員に報酬を約束したとされる事件で、複数の店長が違法性を認識しながら「本社の指示なので従わざるを得なかった」との趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で判明した。 事件では、デルパラ社長の山本昌範(50)▽営業本部長の湯浅一行(46)▽管理本部長の小西悌之(ともゆき)(44)――の3容疑者ら幹部6人が、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで警視庁などの合同捜査本部に逮捕された。捜査本部は28日、6容疑者を送検した。 捜査本部によると、湯浅、小西両本部長は山本社長の指示に基づき、7月2、3日にオンライン会議で各店長に、パチンコ業界の組織内候補の阿部恭久氏(66)をグループ一体で支援する方針を説明。阿部氏の名前を記入した投票用紙を撮影したら残業代名目で報酬を支払うと伝達した。 捜査関係者によると、各地の店長に任意で事情を聴いたところ、複数の店長が両本部長の説明について「違法だと思ったが、本社の指示で従わざるを得なかった」という趣旨の供述をしたという。 デルパラグループ傘下の1都7県にある全31店舗では、従業員ら250人以上が3000円または4000円を受け取る約束で依頼に応じたとみられる。捜査本部は、店長や従業員も公選法違反の疑いで立件する方針。【山本康介、長屋美乃里】