香港紙創業者、有罪は不可避か 黎智英氏の裁判結審、中国「極悪人への厳罰」を要求

香港国家安全維持法(国安法)違反の罪などに問われた香港紙、蘋果(ひんか)日報(アップルデイリー)の創業者で著名な民主活動家、黎智英(れい・ちえい=ジミー・ライ)氏(77)の裁判が28日、結審した。中国の習近平政権は黎氏を「反中分子の極悪人」と呼んで反政府活動の黒幕に位置付けており、有罪は不可避との見方が強い。国安法の最高刑は終身刑で、焦点は事実上、量刑に移っている。 国安法を巡る黎氏の逮捕・起訴は、2020年6月に同法が施行された香港における民主化運動と言論弾圧を象徴する事件として関心を集め、23年12月に裁判がスタート。150回以上の審理が行われてきた。4年8カ月に及ぶ収監で健康状態も悪化している黎氏に有罪判決が下されれば、国際社会で反発の声が一気に高まるのは必至だ。 ■全面否認…判決は数カ月後か 検察側は、黎氏が①蘋果日報幹部らと共謀して、同紙などを通じ市民に中国や香港当局への憎悪などを煽った②同紙幹部や外国の政治家らと共謀して、外国政府に中国や香港への制裁などを求め、国家の安全に危害を加えた-などと主張。黎氏は全面的に否認した。 弁護側は最終弁論で▽蘋果日報の記事は政府への憎悪を煽ることを目的としていない。言論の自由が認められるべきだ▽黎氏は国安法施行以降、外国に中国や香港への制裁を求めていない-などと訴えた。これに対し、検察側は▽言論の自由は無制限ではない▽制裁などを呼びかける共謀は国安法施行後も継続した-などと反論。判決期日は数カ月後とみられる。 中国の影響力が強まる香港の裁判所で公正な判決が期待できるのか、正当性を疑問視する声は大きい。 ■トランプ氏、早期釈放へ発言 そもそも、国安法を解釈する権利は中国の立法機関、全国人民代表大会常務委員会にあり、香港の裁判所にはない。国安法関連の裁判は、香港トップの行政長官が指名した裁判官によって判決が下される。 また、中国政府で香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室トップの夏宝竜主任は黎氏を名指しして「厳罰を与えなければならない」と批判している。夏氏は習国家主席の元腹心として知られる人物だ。

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