川崎ストーカー事件で、警察は4日、警察の対応が不適切・不十分だったとする検証報告書をまとめ、神奈川県警トップが謝罪しました。 今回の検証結果から、どういった点が問題だったのか、フジテレビ・上法玄解説委員とお伝えします。 今回の報告書で明らかになったことがありました。 まず、岡崎彩咲陽さん(当時20)は、2024年9月に被害届を提出しましたが、その翌月、10月に被害届を取り下げています。 ここからが今回新たに分かった事実で、その被害届を取り下げた2日後、10月31日、岡崎さんが身を寄せていた姉のマンションに白井秀征被告(28)が壁を乗り越えて敷地内に侵入しています。 そして、通報したにもかかわらず、警察は2日前にこの被害届を取り下げていることなどから、マンションの侵入については捜査を行いませんでした。 今回の報告書では、このことについて「拙速な捜査の終結」という言葉を使っています。 ――マンションに侵入していたことが明らかになりましたが、この辺りはどう見ますか? フジテレビ・上法玄解説委員: 警察は、この時点でこの事案はおかしいと、岡崎さんが白井被告に脅されて復縁を迫られているのではないかと気づかなければいけなかったと思います。しかも白井被告の住居侵入の事案は防犯カメラの映像という動かぬ証拠がありましたから、この時点で白井被告逮捕に踏み切ることもできたと思います。 ――危険性の過小評価とも指摘されていましたが、具体的にはどういった部分が過小評価につながったのですか? フジテレビ・上法玄解説委員: 失踪直前の12月には10日と16日の2回、岡崎さんが自転車を盗んだ白井被告を逮捕してほしいと具体的なお願いまで警察にしていました。このSOSになぜ動けなかったのか、市民を守る警察はどこへ行ってしまったのか、大変、残念です。 今回の検証結果でさまざまな問題が浮かび上がりましたが、その1つとして警察組織の構造的な問題が挙げられました。 ――殺人事件などを扱う捜査一課とストーカー事件などを扱う人身安全対策課の情報共有が一切なかった、連携不足も問題として挙げられていますが、どうやって今後こういった事件を未然に防ぐことができるんでしょうか? フジテレビ・上法玄解説委員: 警察にはあらゆる部門がありますが、身代金目的誘拐事件を扱う捜査一課だけが被害者の今いる場所、位置情報をリアルタイムで探ることができます。岡崎さんが失踪した直後も岡崎さんがどこにいるのか探るためにも捜査一課がしっかり関与してくることが不可欠だったといえます。今後は殺人事件を防ぎ、被害者の命を救うために、ストーカーを扱う人身安全部門が捜査一課と協力して被害者が今どこにいるのか、その位置情報をリアルタイムで特定して被害者を積極的に保護していくことが大事になってくると考えます。 (岡崎彩咲陽さんの崎はたつさき)