英エセックス州エッピングのホテル前で、難民の受け入れに関する抗議活動が始まるきっかけとなった事件をめぐり、裁判所は4日、14歳の少女と成人女性に対する性的暴行などの罪でエチオピア出身の男性に有罪判決を言い渡した。少女たちに声をかけ、太ももに触れ、キスを求めたなどとされる被告は、全ての罪状を否認している。 判決によると、エチオピア出身のハドシュ・ケバトゥ被告は、7月7日と8日にエッピング市内で少女に触れて、「赤ちゃんがほしい」などと発言した。 チェルムスフォード治安判事裁判所の判事は、被告に対し、少女への嫌がらせ、性的行為の扇動、性的暴行未遂の罪についても有罪の判決を言い渡した。また、今月下旬の量刑言い渡しでは、実刑判決が言い渡される見通しだと警告した。 検察によると、ケバトゥ被告は少女にキスしようとしたり、太ももに手を置いたりしたほか、自分の前で別の子どもにキスをするよう少女に求めたとされる。 このやりとりに気づいた別の女性が介入した際、ケバトゥ被告はその女性の太ももにも手を置いた。女性はすぐに警察に通報し、被告の行為に「ショックを受け、不快に感じた」と証言した。 ケバトゥ被告は公判で、難民資格申請者が滞在する「ベル・ホテル」に、逮捕前の約1週間にわたり滞在していたと述べた。また、イギリスに到着するまでにスーダン、リビア、イタリア、フランスを経由したと説明した。 3日間にわたる裁判の中で、ケバトゥ被告は「自分は野生動物ではない」と主張し、「そんなこと、自分にはできない。キリスト教に反する。あの子たちはただの子ども、純真な子どもだ」と述べていた。 しかし、クリストファー・ウィリアムズ地区判事は、ケバトゥ被告が「証言台に立ったその時点で初めて、こういう展開だったことにすると決めて」作り出した内容を陳述したのだと指摘した。 ケバトゥ被告の逮捕を受け、「ベル・ホテル」前では抗議活動が相次いでいる。 ■少女たちに声をかけ 証人の一人は公判で、7月7日にケバトゥ被告が少女たちに対し「アフリカに戻ってこい。君は良い妻になる」と話しているのを聞いたと証言した。 少女たちがエッピングの市街地でピザを食べていたところ、ケバトゥ被告に声をかけられ、「ベル・ホテル」に戻るよう誘われたという。 話しかけられた少女は警察に対し、被告に「いきなり『君から1人、君の友だちから1人、赤ちゃんが欲しい』と言われた」のだと話している。 ケバトゥ被告はその翌日も、同じ少女に「かわいい」と声をかけ、ベンチでキスしようとした上、太ももに手を置いたところを目撃された。 少女は捜査官に対し、その場で「固まってしまった」と話した。また、「だめ、私は14歳だ」と伝えたが、ケバトゥ被告は「年齢は関係ない」と返答したという。 少女はさらに、「吐き気がした。大人の男性がそれをしてもいいと思うなんて、考えもしなかった」と語っている。 公判では、ケバトゥ被告が少女たちに対し、自分がアフリカ出身で、「ゴムボート」でイギリスに渡るために2500ユーロ(約43万円)を払ったと話していたという説明もあった。 裁判では、ケバトゥ被告は自分の生年月日を1986年12月と述べた。それによると年齢は38歳になるが、裁判記録では実際には41歳だという可能性が指摘されている。 この日までの審理で、ウィリアムズ判事はケバトゥ被告がボートでイギリスに到着したことを確認していた。 ケバトゥ被告は、自国では「スポーツの教師」をしていたと述べ、子どもたちを「明日の未来、新しい世代」と表現していた。 しかし判事は、7月8日にケバトゥ被告が少女に対し、目の前で別の子どもにキスするよう求めた際、「明らかに性的に興奮した状態にあった」と指摘した。 その場に居合わせた女性が介入し、ケバトゥ被告との会話の中で履歴書について話を向けたという。 女性は裁判で、ケバトゥ被告が自身の太ももに手を置いた際、「ショックを受け、不快に感じた」と証言。法廷では、女性が通報した際の緊急通話の音声が再生され、「その子どもたちから離れて」と叫ぶ声が確認された。 判決を言い渡す際、ウィリアムズ判事はケバトゥ被告に対し、「彼女がたった14歳だと知っていたはずだ」と述べた。また、2度目の接触時には少女が学校の制服を着ていたことを指摘した。 ケバトゥ被告は、9月23日に再び出廷する際、「即時の実刑判決」が科される可能性があると警告されている。 (英語記事 Epping hotel resident guilty of sex assault of girl)